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センバツ優勝候補・大阪桐蔭、仙台育英、広陵の初戦はどうだったか? 注目投手も力を発揮!

森本栄浩毎日放送アナウンサー
史上初の2度目の春連覇を狙う大阪桐蔭は、苦しみながらも初戦を突破した(筆者撮影)

 センバツ6日目は、天候不良予報のため早々と順延が決定。5日目までに登場した有力校の多くが、初戦を突破した。春は未完成なチームが多く、勢いに乗ったチーム、消耗が少ない状態で勝ち上がったチームが、優勝戦線をリードする。優勝候補3校の初戦を振り返る。

大阪桐蔭は前田の力投で敦賀気比に辛勝

 絶対的エース・前田悠伍(3年=主将)を擁し、史上初の2度目のセンバツ連覇を狙う大阪桐蔭は、試合巧者の敦賀気比(福井)の軟投派左腕・竹下海斗(2年)に手こずり、打線が湿りっぱなしだった。前田も直球が走らず球数を要したが、14三振を奪う力投で、危なげない投球。能代松陽(秋田)との3回戦では、南恒誠(3年)ら控え投手の登板も予想される。西谷浩一監督(53)は、「センバツの初戦は難しい。どういう形であれ勝てればいい」と安堵していた。控え投手の底上げと攻撃陣の奮起で、前田をいかに援護できるかが、優勝への最大のポイントになる。

投打とも完璧な試合を見せた広陵

 優勝候補で最も安定感のある試合運びだったのが広陵(広島)だ。攻守とも万全に仕上がっている。秋は足の故障で精彩を欠いたエース・高尾響(2年)が本来の姿を取り戻し、強打の二松学舎大付(東京)打線を8回無失点。要所で遊撃手・小林隼翔(3年=主将)が美技を見せ、中井哲之監督(60)を「よく投げ、よく守り、練習の成果が出た」と喜ばせた。左腕・倉重聡(3年)もマウンドを経験し、投手陣に不安はない。打線の軸になる真鍋慧(3年)は鮮やかな流し打ちで追加点を叩き出すなど、上位打線が当たっている。次戦では、海星(長崎)の継投策にどう対応するか、注目したい。

タイブレークで命拾いした仙台育英

 今大会から延長、即タイブレークとなり、その適用第一号となった昨夏覇者の仙台育英(宮城)は、自慢の投手陣こそまずまずだったが、打線のつながりが今後の課題だろう。先発した速球派左腕の仁田陽翔(3年)は雨で本来の投球ができなかったが、救援した高橋煌稀(3年)が試合を締めた。慶応(神奈川)の右腕・小宅雅己(3年)の前に打線が8回で1点しか奪えず、投手陣を援護し切れなかった。須江航監督(39)の「全くの互角。相手より上回っているとすれば夏の経験」という大苦戦で、昨夏から4番の斎藤陽(3年)が3安打し気を吐いたが、3回戦で当たる龍谷大平安(京都)は、勝ちパターンの抑え投手が台頭している。早い回から主導権を握りたい。

智弁和歌山は意外な打線沈黙で敗退

 有力校では智弁和歌山が英明(香川)の投手陣を打ち崩せず、初戦敗退を喫した。英明は四国王者であり波乱とは言えないが、看板の打線が沈黙したのは意外だった。開幕戦では関東王者の山梨学院が、東北(宮城)との熱戦を制した。センバツ優勝経験のある沖縄尚学東邦(愛知)は、昨秋の地区王者らしい戦いぶりで、いい仕上がりを印象付けた。ただ1回戦から登場の各校は、3勝してようやく8強なので、頂点までの道のりは長く険しい。

平野、日當ら本格派投手も好投見せる

 5日目には本格派右腕が相次いで登場した。(山口)の升田早人(3年=主将)は、伸びのある直球を低めに集め、自己最速を更新する143キロをマークした。右腕では全国屈指と言われる専大松戸(千葉)の最速151キロエース・平野大地(3年)は、7安打を許したが要所で変化球が冴え、投球術の高さを披露した。東海大菅生(東京)の巨漢投手・日當(ひなた)直喜(3年)は、今大会これまでで最速の148キロを計測。「日本一になるためには真っすぐで抑えないと」と、直球へのこだわりを見せた。

水入りの「機動破壊」対「強肩捕手」

 健大高崎(群馬)と報徳学園(兵庫)の好カードは雨天順延となった。今大会ナンバーワン捕手、報徳の堀柊那(3年=主将)と、機動力を駆使する健大のマッチアップは前半戦のハイライトになるだろう。21世紀枠の石橋(栃木)と城東(徳島)はともに惜敗したが、力を出し切ったナイスゲームだった。氷見(富山)にも期待したい。

毎日放送アナウンサー

昭和36年10月4日、滋賀県生まれ。関西学院大卒。昭和60年毎日放送入社。昭和61年のセンバツ高校野球「池田-福岡大大濠」戦のラジオで甲子園実況デビュー。初めての決勝実況は平成6年のセンバツ、智弁和歌山の初優勝。野球のほかに、アメフト、バレーボール、ラグビー、駅伝、柔道などを実況。プロレスでは、三沢光晴、橋本真也(いずれも故人)の実況をしたことが自慢。全国ネットの長寿番組「皇室アルバム」のナレーションを2015年3月まで17年半にわたって担当した。

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