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【最新版】乾癬の悪化リスク要因とその予防法を皮膚科医が解説!

大塚篤司近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授
(写真:アフロ)

【乾癬の悪化を引き起こす古典的リスク要因とは?】

乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患であり、遺伝的要因と環境要因の相互作用により発症します。症状の悪化や再発を引き起こすリスク要因は多岐にわたりますが、大きく古典的リスク要因と新興リスク要因に分類できます。

古典的リスク要因には、機械的ストレス、感染症、皮膚の細菌叢の乱れ、一般的な薬剤(リチウム、βブロッカー、合成抗マラリア薬、抗生物質、ACE阻害薬、インターフェロンなど)、環境汚染、生活習慣、心理的ストレス、ホルモンバランスの変化、代謝異常などが含まれます。

例えば、外傷やタトゥーなどの機械的ストレスは、健常な皮膚に乾癬症状を誘発する可能性があります。また、連鎖球菌感染症は尋常性乾癬の発症に関与し、皮膚の細菌叢の乱れも症状悪化の一因となります。喫煙や飲酒、肥満などの生活習慣も乾癬の病態に悪影響を及ぼすことが知られています。

日本においても、これらの古典的リスク要因は乾癬患者の症状管理において重要な考慮点となります。患者自身が自己の症状との関連性を理解し、生活習慣の改善や環境調整に取り組むことが求められます。

【新たに注目される乾癬の悪化リスク要因】

近年、新興リスク要因として注目されているのが、生物学的製剤、がん治療に用いる免疫チェックポイント阻害剤、COVID-19感染、ワクチン接種などです。

生物学的製剤は乾癬の画期的な治療薬ですが、皮膚症状の悪化を引き起こす場合があります。免疫チェックポイント阻害剤の使用によっても、乾癬の発症や悪化が報告されています。

また、COVID-19のパンデミックに伴い、SARS-CoV-2感染が乾癬症状を悪化させる可能性が示唆されています。ワクチン接種後の乾癬悪化も報告されていますが、ワクチンの有益性を考慮すると接種を控える必要はないとされています。

【乾癬患者に求められる適切な症状管理とは】

乾癬患者にとって、症状の悪化を防ぎ、QOLを維持するためには、リスク要因を把握し適切に管理することが重要です。

医療者との緊密なコミュニケーションを通じて、服薬アドヒアランスを高め、定期的なフォローアップを受けることが求められます。また、禁煙や節酒など、生活習慣の改善に取り組むことも症状管理に役立ちます。

特に肥満には注意しましょう。運動習慣を確立し、バランスの良い食事を心がけるなど、適正体重の維持が推奨されます。

以上、乾癬の悪化リスク要因について概説しました。患者さんには正しい知識を持ち、適切な症状管理に取り組んでいただきたいと思います。乾癬は完治は難しい疾患ですが、適切な治療と生活管理により、症状をコントロールし、充実した生活を送ることが可能です。

参考文献:

Potestio, L., Lauletta, G., Tommasino, N., Portarapillo, A., Salsano, A., Battista, T., & Megna, M. (2024). Risk Factors for Psoriasis Flares: A Narrative Review. Psoriasis: Targets and Therapy, 14, 39-50. https://doi.org/10.2147/PTT.S323281

近畿大学医学部皮膚科学教室 主任教授

千葉県出身、1976年生まれ。2003年、信州大学医学部卒業。皮膚科専門医、がん治療認定医、アレルギー専門医。チューリッヒ大学病院皮膚科客員研究員、京都大学医学部特定准教授を経て2021年4月より現職。専門はアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患と皮膚悪性腫瘍(主にがん免疫療法)。コラムニストとして日本経済新聞などに寄稿。著書に『心にしみる皮膚の話』(朝日新聞出版社)、『最新医学で一番正しい アトピーの治し方』(ダイヤモンド社)、『本当に良い医者と病院の見抜き方、教えます。』(大和出版)がある。熱狂的なB'zファン。

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