一生に一度は訪ねたい「昭和レトロな温泉街」5選(中国・四国編)
昭和レトロがブームである。旅の目的地として、昭和の懐かしさを感じられる観光地を選ぶ人も多いという。
その点、古くから温泉が湧き続けている歴史ある温泉地には、現代の日本人が懐かしさを覚えるようなレトロな街並みや浴室が残る。そんな昭和レトロな温泉街は、浴衣と下駄でのそぞろ歩きが似合う。
そこで今回は、「昭和レトロ」の気分を存分に味わえる温泉街を中国・四国エリアに絞って5カ所紹介したい。
道後温泉(愛媛県)
四国を代表する温泉地でありながら、日本三古湯に数えられる名湯。その歴史は3000年以上ともいわれ、聖徳太子など歴史上の人物がつかったという話も数多い。現在の温泉街は大きなホテルが林立して温泉情緒は感じにくいが、共同浴場「道後温泉本館」だけは別。国の重要文化財の建物は夏目漱石の名作『坊ちゃん』の舞台としても知られ、当時の雰囲気を味わえる。まわりの宿に宿泊する観光客も、みんな一度は入りにくる日本を代表する共同浴場だ。しばらく保存改修工事をしていたが、今年7月に5年半ぶりに全館営業を再開した。
小藪温泉(愛媛県)
山の中の一軒宿。急流の渓谷に沿うように建つ鄙び宿で、木造建築の風情ある建物は、有形文化財に登録されている。鄙びた宿が好きな人にはおすすめ。アルカリ性の冷鉱泉は循環されているが、ちょっとスベスベ感があり、かけ流しに近い浴感。四国では秘湯ともいえる宿でゆっくり過ごしたい。
俵山温泉(山口県)
知名度では同じ長門市にある長門湯本温泉に譲るが、狭い路地に小規模な旅館が軒を連ねる俵山温泉は、どこか懐かしさを感じる素朴な温泉地。もともと湯治文化が根づいており、各宿に長期滞在する宿泊客は街の中心にある共同浴場に通うのが俵山のスタイル。共同浴場「町の湯」「白猿の湯」は源泉かけ流しの湯船をもつ。
温泉津温泉(島根県)
世界遺産の温泉。温泉津と書いて「ゆのつ」と読む。石見銀山の一角にあり、往時は積み出し港として賑わった港町の温泉だ。昔ながらの建物が並ぶ温泉街は、鄙びていて風情は満点。「元湯泉薬湯」と「薬師湯」の2軒の共同浴場はアツアツの湯で知られるが、もちろん源泉かけ流しで新鮮である。薬師湯は洋風建築だが、鄙びた街並みに溶けこんでいる。湯の街情緒を感じたい人におすすめ。
三朝温泉(鳥取県)
三徳川に沿って形成される三朝温泉は、日本有数の放射能泉の名湯として知られる。昔はストリップ劇場のあるような歓楽温泉として賑わったが、現在は昭和レトロを醸し出す落ち着いた温泉地である。多くの宿が川に面しているが、湯浴み客が立ち寄る名物が、河川敷にある河原露天風呂。周囲から丸見えの混浴であるが、一度浸かれば解放感抜群だ。