バスケW杯優勝、サッカー代表監督解任、二つのドイツ史上初はX同時刻ポストされた
2023年9月10日はドイツスポーツ界にとって忘れられない日となった。バスケットボールW杯で初優勝を果たし、ハンジ・フリックサッカー代表監督も123年の歴史上初めて解任された。
興味深いのは二つの発表は完全に同時刻に行われたことだ。
セルビアを下し優勝が決まった歓喜の瞬間を伝えるドイツバスケット連盟の投稿が16時40分に行われた。
1950年から続くバスケットボールW杯で、ドイツは優勝はおろか決勝進出も初めてのことだった。
そして、ドイツ代表ハンジ・フリック監督解任発表も同時刻だった。ベルント・ノイエンドルフドイツ連盟会長の発案により解任は行われ、フリック監督とともにコーチ二人もドイツ代表を去ることが伝えられている。
この2件の同時刻発表は、00分などではなく40分と刻んでいることからさすがに意図的だったと見るのが自然。少しでもソフトな扱いになればという願いとドイツサッカー連盟(DFB)全体の意気消沈ぶりが伝わってくるようだ。
この日のフリック前監督は、午前中には、代表チームの公開練習を指揮し(これが代表監督として最後の練習となった)、11時4分にはファンとの写真撮影に応じた。この時フリック前監督は「私は戦い続けるがサッカー界では一歩先のことはわからない」とファンに話をしたとビルト紙は伝えている。午後になり、ヴォルフスブルクでのドイツ代表チームホテルリッツカールトンで、ノイエンドルフ会長、ハンス・ヨアヒム・ヴァツケ副会長、ルディ・フェラースポーツディレクターが会議を行い、解任が決定。フリック氏に伝えられ、選手たちが集められフリック氏は別れを告げ、17時23分にバンでホテルを後にした。最後までフェラーSDはフリック氏の味方で解任に反対していたとされるが、そのフェラーSDでさえDFB公式サイトに「このままでは前進できないことが日本戦で明らかになった」とコメント。ホームで1−4の大敗で監督解任の決断を下したことを認めている。
今後は、監督人事を急ぎつつ、まずは12日のフランス戦を乗り切らなくてはならない。フランスは隣国であり、W杯ロシア大会優勝、カタール大会準優勝とドイツの上を行く強豪。フランス戦もホームのドルトムントで行われることもあり2連敗で恥の上塗りは避けたいところだ。この試合ではフェラーSDに加えハネス・ヴォルフDFBユースダイレクター兼U-20代表監督とヴォルフのもとでアシスタントコーチを務めてきたサンドロ・ヴァグナーがベンチ入りする。ヴォルフとヴァグナーの二人は10日の22時にすでに代表宿舎入りしチームと合流している。
監督人事も一筋縄では行かないだろう。実力派監督は、例えばユルゲン・クロップ(リバプール)やトーマス・トゥヘル(バイエルン)のように現在職に就いているし、元バイエルン監督のユリアン・ナーゲルスマンは無職だがバイエルンとの契約を2026年まで残しているため、解除に伴う金銭が発生してしまう。DFBはそれら諸問題を解決し有力な監督にたどり着いた上で来年の欧州選手権で恥ずかしくない結果を得られるよう準備を始めなくてはならない。