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地中海が大荒れ コルシカ島で大雪、イタリアで雹、トルコでは41℃

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
13日の衛星画像 (出典元: NASA)

この時期穏やかな天候が続くはずの地中海に、ある異変が起こりました。先週は寒気を伴った低気圧が居座り、イタリアやバルカン半島などで季節外れの大雪、雹、台風クラスの強風が発生、一方でトルコなどでは晴れて、酷暑となりました。

●コルシカ島の雪

地中海に浮かぶフランスのコルシカ島は、温暖な気候が特徴的ですが、この島の山間部で13日、最大30センチの大雪が降りました。下の動画のように一面銀世界になって、交通事故も起きたようです。

同様にイタリアのシチリア島でも、季節はずれの雪が降りました。

●イタリアの雹

一方イタリア北部では11日が降り、ミラノの空港が一時閉鎖された他、13日にもイタリア中部で大量の雹が降り積もりました。

●ボスニアの大雨

バルカン半島のボスニアでは12日から13日にかけて大雨が降り、堤防が決壊、記録のある120年間で最悪の洪水が発生しました。釣りをしていた男性1人が死亡、自転車ごと川に流された6歳の少年は行方不明となっています。

●クロアチアの強風

さらにクロアチアでは13日、台風並みの強風が吹き荒れました。首都のザグレブでは35m/sの強風を観測、45年来の嵐となりました。この強風で少なくとも2人が負傷しています。

悪天の原因

このような極端な天候が見られたのは、偏西風の蛇行が関係しています。

偏西風が北側から大きく南に蛇行し、地中海中部は「気圧の谷」の部分となったため、寒気が居座り、荒れた天気も続きやすくなりました。

一方で地中海西部と東部は、偏西風が北に向けて出っ張る「気圧の尾根」の部分にあたったために、暖気が居座り、晴天も続いたのです。

真夏を上回る酷暑

この「気圧の尾根」の部分にあたったイベリア半島やトルコなどでは、今年初の熱波が襲い、真夏を思わせる陽気となりました。平年の気温を10℃以上も上回る暑さが続き、ポルトガルでは38.1℃、トルコでは41.1℃と、季節外れの過酷な暑さが襲いました。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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