トランプ就任でガザの食料や医療の危機、より深刻に―今月にもUNRWA活動停止か #専門家のまとめ
既に深刻なパレスチナ自治区ガザでの人道危機は、トランプ氏の米国大統領の就任で、壊滅的なものとなりそうだ。ガザでの人道支援の中心となっている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動をイスラエルは今月中にも停止させようとしている。同国に対して最も影響力を持つのは米国であるが、トランプ氏のパレスチナ問題へのスタンスは極めてイスラエル寄りであり、UNRWAの活動に対しても否定的だからだ。食料や医療の支援が断たれることで、中長期的にはイスラエル軍の空爆よりも多くの犠牲者を出しかねない。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解
イスラエルがUNRWAをガザから締め出そうとしているのは、ハマスのみならずガザの人々そのものを根絶やしにしようとしていること(実際、イスラエル政府関係者らが、そうした発言をしている)とも無関係ではないだろう。また、トランプ氏は第一期の政権時(2017年~ 2021年)でも、UNRWAに対する資金提供を停止しているので、今回もイスラエル側に立った対応をするものと思われる。しかし、国際刑事裁判所は、ガザへの人道支援を妨害したことが戦争犯罪/人道に対する罪であるとして、イスラエルのネタニヤフ首相らに対し、逮捕状を発行している。トランプ氏にとっても、イスラエルへの加担の責任の重さは、第一期のそれとは次元の違うものとなる。日本は、UNRWAの活動を支持し、資金も提供してきた。トランプ氏の御機嫌取りをしようとするのではなく、言うべきことはしっかりと言っていくことが必要だ。むしろ、日米関係が重要ならばこそ、世界的に孤立しているイスラエルを過度に擁護・支援することは米国にとってもマイナスが大きいと諭すべきだろう。