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トランプ就任でガザの食料や医療の危機、より深刻に―今月にもUNRWA活動停止か #専門家のまとめ

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
イスラエル・アメリカ評議会で演説するトランプ氏 2024年米大統領選挙にて(写真:ロイター/アフロ)

 既に深刻なパレスチナ自治区ガザでの人道危機は、トランプ氏の米国大統領の就任で、壊滅的なものとなりそうだ。ガザでの人道支援の中心となっている国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の活動をイスラエルは今月中にも停止させようとしている。同国に対して最も影響力を持つのは米国であるが、トランプ氏のパレスチナ問題へのスタンスは極めてイスラエル寄りであり、UNRWAの活動に対しても否定的だからだ。食料や医療の支援が断たれることで、中長期的にはイスラエル軍の空爆よりも多くの犠牲者を出しかねない。

ココがポイント

「現地で医薬品や食料の管理と配給ができるのはUNRWAしかない。ガザ地区への人道支援がとまることがあってはならない」
出典:NHK 2025/1/6(月)

ガザ北部「医療体制崩壊」 赤十字、国際法順守を要求
出典:東京新聞デジタル/共同通信 2024/12/31(火)

トランプ次期政権の国連軽視に懸念 (油井’s VIEW)
出典:国際報道 2025 - NHK 2024/12/27(金)

国際刑事裁判所(ICC)は、ネタニヤフ首相とガラント前国防相に対し、ガザでの戦争犯罪と人道に対する罪の容疑で逮捕状を発行
出典:志葉玲 2024/12/27(金)

エキスパートの補足・見解

イスラエルがUNRWAをガザから締め出そうとしているのは、ハマスのみならずガザの人々そのものを根絶やしにしようとしていること(実際、イスラエル政府関係者らが、そうした発言をしている)とも無関係ではないだろう。また、トランプ氏は第一期の政権時(2017年~ 2021年)でも、UNRWAに対する資金提供を停止しているので、今回もイスラエル側に立った対応をするものと思われる。しかし、国際刑事裁判所は、ガザへの人道支援を妨害したことが戦争犯罪/人道に対する罪であるとして、イスラエルのネタニヤフ首相らに対し、逮捕状を発行している。トランプ氏にとっても、イスラエルへの加担の責任の重さは、第一期のそれとは次元の違うものとなる。日本は、UNRWAの活動を支持し、資金も提供してきた。トランプ氏の御機嫌取りをしようとするのではなく、言うべきことはしっかりと言っていくことが必要だ。むしろ、日米関係が重要ならばこそ、世界的に孤立しているイスラエルを過度に擁護・支援することは米国にとってもマイナスが大きいと諭すべきだろう。

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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