ノーベル平和賞受賞 国連WFPが80か国に支援する食料420万トンより日本の食品ロスが1.5倍も多い
2020年10月9日、国連WFPがノーベル平和賞を受賞したことが報じられた。
国連WFPは、飢餓のない世界を目指して活動する国連の食料支援機関として毎年およそ80カ国に支援を行う組織だ。
国連WFP事務局長のデイビッド・ビーズリー(David Beasley)氏は、今回のノーベル平和賞受賞で、声明を発表するとともに、喜びの声をツイッターに投稿した。
デイビッド・ビーズリー氏は、2020年7月17日、新型コロナ感染症によるパンデミックが引き金となり、大規模の飢饉が起こる可能性について発言している。
実は日本の食品ロスは世界の食料支援量より1.5倍も多い
世界への食料支援と聞くと、想像もつかないくらい膨大な量を支援しているように思うかもしれない。
だが、国連WFPが一年間に支援している食料は、年間420万トン(2019年度)。日本で無駄にしている食品の量は、年間612万トン(2017年度)なので、世界の食料支援量の1.5倍に相当する。
2020年のコロナ禍で飢餓も貧困も事態が悪化
SDGsのゴール2番で撲滅を目指す飢餓の問題は、2020年のコロナ禍で悪化してしまった。
飢餓だけでなく、貧困についても同様だ。2020年10月7日、世界銀行(The World Bank)が発表した推計によると、1日1.9米ドル(約200円)以下で暮らす絶対的貧困層が、2020年末までに7億2900万人となる見込みだ。世界人口のうち9.4%を占める。
COVID-19(新型コロナ感染症)が発生するまでの25年間、貧困は徐々に改善傾向を見せていたが、2020年、悪化に転じた。世界銀行が国際的に統一した方法で調査を始めて以来、貧困の増加は最も大きい結果となる。SDGsのゴール1番「貧困撲滅」の達成は、残念ながら遠のいてしまった。
10月31日までSNSに投稿する「ゼロハンガーチャレンジ」
あまりに大きい問題に直面すると、何をしていいのかわからないし、自分一人くらいが何しても変わらないわ、と無力感にさいなまれる。
国連WFPは、ゼロハンガーチャレンジを実施中だ。やり方は簡単で、SNSに以下のハッシュタグ
- 食品ロスゼロアクション
- ゼロハンガー2020
- 国連WFP
(それぞれ用語の前にシャープの記号をつける)
をつけて投稿するだけ。1つの投稿で、協賛企業が120円を寄付してくれるので、そのお金で飢餓に苦しむ低所得国の人たちの食料を提供することができる。2020年10月31日まで、同じ人が、何度でも投稿することができる。
投稿の内容は、たとえば、食品ロス削減や飢餓に関する下記のようなもの。
見切り品や規格外品の購入
インターネットで食品ロスの購入
残り物活用レシピ
皮なども使ったスムージーやスープ
外食の持ち帰り
外食で食べきれるだけ注文
そのほか、食品ロスや飢餓問題に関するイベントや講座へ参加したことや、食品を無駄にしない冷蔵庫収納術などもOK。
まずは、事実を知ること。そして、意識を変え、行動を変えること。どんなささやかなことでも、できるところからやると、無理なく続けることができる。
参考情報
国連世界食糧計画(WFP)がノーベル平和賞を受賞 国連WFP事務局長のデイビッド・ビーズリーによる声明(2020年10月9日、国連WFP)
コロナウイルスが命と生活を奪い、今後数カ月で飢餓が急増=国連新報告書(2020年7月17日、国連WFP)
前半で30万件以上のSNSアクション「ゼロハンガーチャレンジ~食品ロス×飢餓ゼロ~」 「食品ロス削減推進法」施行から1年 世界食料デーキャンペーン2020
コロナ禍でもできる社会貢献 「ゼロハンガーチャレンジ~食品ロス×飢餓ゼロ~」タレントや企業など100以上の個人・団体が協力 世界食料デーキャンペーン2020