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米国人ジャーナリストが語る「クロアチア戦における日本勝利のカギはテンポ」

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
(写真:ロイター/アフロ)

 先日、米国メジャー・リーグ・サッカー(MLS)で優勝したLAFCのホームゲーム全てを記者席から見つめるジョッシュ・グロス記者に、クロアチアとのゲームを占ってもらった。

写真:ロイター/アフロ

 「私は、日本にアドバンテージがあるように思う。テンポが良いのが利点だ。守りから攻めにシフトする時のスピードだよ。ドイツもスペインも、それにやられたね。

 クロアチアはルカ・モドリッチが率いるMF陣が、高いクオリティーを見せるだろうから、中盤を支配されるんじゃないかな。その点はドイツ戦、スペイン戦よりも苦しくなるだろうね。

 ただし、前回大会準優勝のクロアチアは高齢化している。日本がエネルギーに満ち溢れた戦いをすれば、大いに苦しめられるし、活路を見出せるさ。耐えて、守って、チャンスの時にあのテンポを見せてほしいね」

 グロスは、「その前に我がアメリカ代表も、オランダ戦だよ! 勝たねば!!」とヒートアップしていた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 今日、MLSも各スタディアムが埋まるようになってきた。が、筆者が米国で暮らし始めた90年代は、女性のスポーツとして認知されていた。サッカーは、1972年にアメリカ政府が認定した法案「Title IX」の影響により、女子バスケットボールと共に普及した。「Title IX」とは、女性の人権を守り、地位を向上させようというものである。

 同法が施行されるまで、高校生の女子がスポーツをするのは27人に一人だった。スポーツ推薦で大学に進学する者はおらず、女子アスリートに与えられる予算は、どの大学も全体の2パーセントに過ぎなかった。米国で最も人気のあるアメリカン・フットボールは、即ケガに見舞われるため、女性に奨励する空気は無かった。

写真:岡沢克郎/アフロ

 あのペレやドイツの皇帝、フランツ・ベッケンバウアーがプレーした北米リーグでさえ消滅してしまった国において、サッカーも徐々に市民権を得てきた。現在の代表チームは、26人中17名が4大リーグを中心とする海外のクラブでプレー中だ。

 若き才能がヨーロッパで活躍し、祖国の代表チームを成長させる様は、サムライブルーと似たものがある。

 グロスの言葉には、日本への声援が籠っているように聞こえた。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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