「日本は育成にもっと金を使うべき」、リオ五輪を予選敗退で終えた日本サッカーの課題を前園真聖に聞いた
開催国ブラジルの悲願の金メダル獲得で幕を閉じたリオ五輪・男子サッカー。
リオ五輪・男子サッカー
金メダル:ブラジル
銀メダル:ドイツ
銅メダル:ナイジェリア
一方、手倉森誠監督が率いた日本代表のリオ五輪は、1勝1敗1分けの勝ち点4でグループステージ敗退に終わった。日本の課題はどこにあったのか? いまから20年前の1996年、アトランタ五輪でブラジル代表に勝利し“マイアミの奇跡”を成し遂げた、当時のサッカー五輪代表をキャプテンとしてけん引した前園真聖さんに話を聞いた。
「細かい技術などが課題というよりも、今回のリオ五輪で露骨にわかったのが『世界での経験の少なさ』ではないかと感じています。大きい舞台での経験を持つメンバーが少なかったので、プレッシャーがかかる場面、逆境に立たされたときとか、苦しい時間帯に自分たちのミスで失敗したときとか、そういう経験がない分、自分たちで立て直すことができなかった。メンタリティーや経験値の少なさが露骨に出たかなと思います。今のA代表の中心メンバーも北京(五輪)で全く歯が立たなくて、その後、成長して今はA代表の中心になっていますが、今回の悔しい思いをロシア・ワールドカップやA代表に向けてつなげてほしいと思うのと、一方で、『ずっと日本のサッカーが変わっていない』なと感じる部分もあります。五輪に出てそこから世界に飛び出す、五輪での悔しい思いや経験を生かして次へ、という流れになっていますが、もっと早い時期に世界との戦いを経験したりとか、育成年代で世界との経験を、個人ではなくてチームでの経験を、日本代表として世界での厳しい戦いを経験していかないと、日本のレベルは上がってはいかないんじゃないかなと感じています」
「そういう意味では、日本のサッカーは、進歩というか、成長をあまりしていないんじゃないかなと。五輪を経験してから世界に飛び出すと、年齢的には24歳とか25歳ですよね。世界を見れば、17歳とか18歳でA代表の選手もいますし、そこは日本の課題だと思います。もちろん環境の問題もあると思いますが、ダイレクトに言うと、育成にもっと金を使っていかないといけないのかなというのが、今回、改めて感じたことです」
「A代表には自然とお金が集まると思うので、育成にお金を回して、もっともっと世界での経験を強化していかないと、なかなかそういう機会は作れないので、そうしないと、そのうち五輪に出場できないとか、W杯に出られないとか、そういう日が近づいているんじゃないかと考えています。育成年代の強化、その重要性を強く感じた五輪ですね」
前園さんは、若い年代での「世界での経験」の重要性を強調した。五輪に出場できない、W杯に出られない、彼が憂う未来を回避するためにも、日本サッカーは今回の「リオ五輪の結果」をこれからにしっかりと生かしてほしい。