北朝鮮が短距離弾道ミサイル1発を発射。2022年のミサイル発射成功は65発目
11月9日午後3時31分ごろ、北朝鮮が短距離弾道ミサイル1発を日本海に向けて発射しました。韓国軍の観測によると発射位置は平安南道の粛川の付近です。韓国軍と自衛隊の観測した飛行性能の数値は以下の通りです。
自衛隊の観測
- 最大高度50km・水平距離250km
韓国軍の観測
- 最大高度30km・水平距離290km・速度マッハ6 ※こちらが正確
自衛隊と韓国軍で観測数値が大きく違うのですが、ミサイルの飛翔経路がほぼ内陸部で通常より低く飛んだ結果、遠い日本からではミサイルが地球の丸みの陰に隠れてレーダーから見えず、不正確になったものと思われます。今回の場合は近くから観測した韓国軍の数値が正確なものでしょう。
飛行性能の数値からおそらくKN-23(北朝鮮版イスカンデル)またはKN-24(北朝鮮版ATACMS)を何時もより更に低めに飛ばしたような感じです。
粛川から距離290km先にはちょうど北朝鮮軍が射爆場に時折使う無人島があるので、おそらく着弾地点は其処でしょう。
- 咸鏡北道の無人島(알섬、アルソム) 40.646706, 129.548286
- 咸鏡南道の無人島(난도、ナンド) 40.313725, 128.761364
今回使用されたと推定される無人島は2の方になります。なお読み方が違いますがどちらも「卵島」という意味です。海鳥の産卵場という意味なので、同じような地名が複数あるようです。弾道ミサイルの着弾場として使用頻度が高いのは1の無人島の方で、2の無人島は時折使用されます。
北朝鮮の2022年ミサイル発射数カウント(発射成功65発)
- 11月2日朝夕 49号~54号 SRBM×4、CM×2 ※SAM×23は除外
- 11月3日朝夜 55号~60号 ICBM×1、SRBM×5
- 11月5日昼 61号~64号 SRBM×4
- 11月9日夕 65号 SRBM×1
※SRBM=短距離弾道ミサイル
※IRBM=中距離弾道ミサイル
※ICBM=大陸間弾道ミサイル
※SAM=地対空ミサイル
※CM=巡航ミサイル
※カウント基準は弾道ミサイルおよび巡航ミサイルのみ。
※2022年の総合計数は、失敗2発を含め31回の発射機会で67発のミサイル発射となります。予備実験を含め発射成功は65発です。
※発射機会は1日分を1回とします。朝夜にそれぞれ撃っても1回分でカウントしています。
※11月3日発射のICBMは発射失敗の可能性がありますが、観測された限りではIRBM相当の飛行性能を発揮しており予備実験だった可能性もあるので、暫定的に発射成功(部分的な成功)に分類しています。
※3月20日に発射された口径300mm以下と推定される多連装ロケット4発は発射機会にカウントしていません。これを発射機会に数えると32回目になります。