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藤井聡太竜王(19)鬼のすみかを抜けられるか? 2月3日、B級1組12回戦・阿久津主税八段(39)戦

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月3日。第80期順位戦・B級1組12回戦がおこなわれます。対戦カードは以下の通りです。(▲=先手、△=後手)

▲藤井 聡太竜王(8勝2敗)-△阿久津主税八段(3勝7敗)

△稲葉  陽八段(7勝3敗)-▲松尾  歩八段(2勝8敗)

△佐々木勇気七段(7勝3敗)-▲郷田 真隆九段(5勝5敗)

△横山 泰明七段(6勝5敗)-▲屋敷 伸之九段(5勝5敗)

△三浦 弘行九段(5勝5敗)-▲久保 利明九段(3勝7敗)

△近藤 誠也七段(4勝6敗)-▲木村 一基九段(3勝7敗)

※千田 翔太七段(8勝3敗)=空き番

 順位戦で快進撃を続けてきた藤井竜王。しかし前節11回戦では千田七段に敗れました。

 昇級争いは藤井竜王(8勝2敗、順位12位)、稲葉陽八段(7勝3敗、順位1位)までが自力。両者ともに2連勝すれば無条件で昇級が決まります。

 もし12回戦で藤井勝ち、稲葉負けならば藤井竜王が上位2枠以内に入ることが確定。最終13回戦前に昇級決定です。

 千田七段(8勝3敗、7位)、佐々木勇気七段(7勝3敗、12位)は他力の立場。他者の成績次第で昇級の可能性が残されています。

 4者の中では佐々木七段が一番不利な状況です。しかし最終戦で藤井竜王との直接対決もあり、逆転昇級も十分に考えられます。

 過去のデータを振り返ると、全12戦で9勝をあげればおおむね当確。ただしB級2組から昇級してきたばかりで順位下位の場合などは、次点で届かない例もありました。

 藤井竜王と佐々木七段は今期が参加1期目。1期抜けが2人出た例は、過去には2000年度(藤井猛竜王、三浦弘行七段)にまでさかのぼることになります。

 今期12回戦。藤井竜王(8勝2敗)は、残留を目指す阿久津八段(3勝7敗)と対戦します。

 阿久津八段は前節、残留を争う相手である松尾歩八段との直接対決を制しました。依然苦しい状況ではありますが、あと2戦の結果次第で、残留を勝ち取る可能性は残されています。

 藤井竜王と阿久津八段は公式戦で過去に2回対戦し、いずれも藤井竜王が勝っています。

 昨年1月には竜王戦2組1回戦で対戦。藤井現竜王にとっては、竜王位獲得へとつながる一番でした。

 稲葉八段と松尾八段の過去の対戦成績は、稲葉3勝、松尾2勝です。

 また佐々木七段と郷田九段の過去の対戦成績は、佐々木1勝、郷田1勝です。

 誰が勝ってもおかしくはないB級1組。最後は、どのような結末となるのでしょうか。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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