エレベーターを降りたとたんに背筋がシュッと伸びる。ドキドキしながらカウンター席へ。そんな高級な店構えの大阪・ミナミのお鮨屋さん「鮨と料理 案山子（かかし）」。今年6月にオープンしたそう。

毎月変わるおまかせコース料理が1本のみ。それが大学生のデートでも食べに行けるような価格設定なのですよ。ぜひ最後まで記事をチェックしてみてください。

鮨と料理 案山子（かかし）

「鮨と料理 案山子（かかし）」は、大阪ミナミの繁華街、東心斎橋の飲食ビル4階にある隠れ家のお店です。

店の入口ではお茶が焚かれ、案山子の暖簾（のれん）をくぐると都会の喧騒とは全く別世界の静かで洗練された空間が広がっていました。

木目を生かした長いカウンター、板場が二つ、天井からの麻の葉文様の組子が見事なしつらえ。ライトアップされた坪庭、奥には個室が２つ。パリッとしたおお店ですよね～。

おいしいお料理と日本酒

まずは気の利いたお料理と、おすすめの日本酒をいただきました。

広島「雨後（うご）の月」千本錦 純米大吟醸 ひやおろし

日本酒をおまかせでお願いしたところ「雨後の月 千本錦 純米大吟醸 ひやおろし」が登場。「雨後の月」は有名ですね。ふくよかでフルーティーな秋酒、最高！

選んだお猪口は「切子の一番良いものです！お目が高い」とのこと。いい気分にさせてもらった（笑）

三種のきのこの西京漬けと温泉卵

きのこがしっかり西京味噌に漬かって、じわりとうまみが。黄身もとろとろの温泉卵をからめていただきました。つかみはOKです！

カツオの瞬間くん製

しっかりと薫香が行きわたり、カツオにも染みている。

存在感のあるカツオ。ミョウガと辛子。ポン酢の味もいい。いや～、どうですか？お酒がすすみます！

ノドグロのねぎま

脂ののったノドグロをねぎまに。仕上げに柚子。うまみがたぷたぷとあふれます。ノドグロはやっぱ最高。

子持ち鮎の煮びたし

鮎を焼いて蒸して炊き、一晩寝かせてまた火を入れたものだそうで、大きな子持ち鮎なのに骨まで柔らか。え、ちょっと待って。子持ち鮎って初めて！

若大将の握る鮨

米は粘りとツヤにこだわり山形産の「はえぬき」の古米を使用。赤酢3種をブレンドしたというシャリのまろやかな酢の具合と大きさがちょうど良い。

タイ

1貫目はタイ。素直においしい！

青森・今別（津軽）の本鮪（ホンマグロ）赤身と中トロ

朝4時15分から始まるマグロのセリを見学しに行き、勉強しているうちに仕入れルートを開拓したという。努力家さんです。

同じ個体のこのマグロ。本鮪ならではのうまみがじわりと融けるおいしさ！

カマスの炙り、レンコンすり流し

皮目をあぶって香ばしいカマス。前半4貫の鮨のあと、箸洗いは、レンコンチップスを浮かべたレンコンのさらっとしたすり流し。

剣先イカ、車海老

プキッ、モチモチな剣先イカ。イカはこうでなくちゃ。大きな車海老は満足感大。

和歌山「南方（みなかた）」純米吟醸 ひやおろし

次にちょっと辛めの日本酒をお願いした。和歌山の「南方」のひやおろし。純米吟醸ならではの飲みごたえ。

漬けのブリ、煮穴子

イクラ、かす汁

イクラは自家製。塩味が強め。かす汁が出るのは珍しい。酒粕を熟成させて赤褐色にしたものを使い、この日のタイやノドグロからとったおだしに合わせて、吸い口は細ネギと柚子七味。

シークワーサーと甘酒のシャーベット、お茶

デザートにさっぱりとしたシャーベット。米を炊くときや出汁にも使っている「分解水素水」でいれたお茶もいただき終了。

おわりに

実はフレンチ出身という20代前半の若大将。東京で修業ののち、東北を放浪中に釣り船に乗せてもらったりと、さまざまな経験をされたそうです。

お鮨は独学で学んだというけれど、ここまで来るにはかなり努力したに違いない。柔軟な発想をもってお客を楽しませようとしていて今後の伸びしろも期待できます。

この雰囲気の中で、鮨9貫と充実のお料理を合わせて16品のコースのみで1万円（税別）。リーズナブルだと思いませんか？日本酒は1合1,000円ほど。

これなら大学生のデートでも使えそうですね。連れて行ってあげたら喜ばれるお店なので、気になる方はぜひ行ってみてください。

取材協力：鮨と料理 案山子