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米・日本の検査方針に不信感「マスク2枚、ロックダウンせず。安倍氏は“経済第一主義”」米紙批判 

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
米メディアは安倍政権の“アベノマスク政策”を揶揄。(写真:ロイター/アフロ)

 「安倍氏は常に“経済第一主義(Economy First)”だ。緊急事態宣言をしたら、確実に、アベノミクス、“経済第一主義”は終わる」

 4月2日付米紙ニューヨーク・タイムズ電子版US News and World Reportが掲載したロイター通信の記事「マスク2枚、ロックダウンせず:日本の首相の最新の新型コロナ対策がソーシャルメディアで怒りをかう」の中に、そんなコメントがある。

 米メディアは、“経済第一主義”のため、ロックダウンを行わず、代わりに、2枚のマスクを配布するとした安倍政権の新型コロナ政策を批判しているのだ。

危機対応に対する不満

 記事は安倍政権の危機管理能力も問題視している。

「緊急事態宣言を求められている安倍氏が、宣言をする代わりに、国民に布マスクを配布すると決めたことはソーシャル・メディアでバカにされ、安倍氏の危機対応に対する不満が高まっている」

 また、初期対応の遅さも指摘。

「安倍氏が新型コロナ戦略で批判されたのはこれが初めてではない。東京オリンピックを開催したいがために安倍氏は新型コロナの脅威を軽視していたと批判され、安倍氏の危機対応は後手だったという声もある」

 さらには、昭恵夫人が花見に参加して批判されたことにも言及。

「外出自粛の呼びかけにもかかわらず、人々が花見で集まったために感染者数が急増する恐れがあることから、評論家は今すぐに、緊急事態宣言を出すべきだと言っている。昭恵夫人は、花見のイベントで撮った写真が表面化し、非難を受けた」

エイプリル・フールの冗談か

 FOX NEWSも「日本の1世帯2マスクの新型コロナ対策はエイプリル・フールの冗談、アベノマスクと嘲笑さる」というタイトルで安倍政権を揶揄した。

 「新型コロナの感染拡大を封じ込めるための日本の新たな政策がソーシャルメディアで非難され、多くの人がエイプリル・フールの冗談だと思った」

とし、さらに、安倍首相のパンデミックに対する危機対応も批判している。

「日本の首相は、パンデミック対応に対する批判に直面した。政府は、オリンピックが中止になる前、検査数を制限することで感染者数を操作したり、新型コロナによる死を他の肺炎による死にしていたと考えている人もいる」

夢じゃなかった

 AFP通信は「嘲笑にマスクはできない:日本のマスク2枚公約がオンラインで波紋」という皮肉なタイトルで、“アベノマスク”がトレンディングになったと紹介。

 神戸大学の岩田健太郎教授の「一晩たっても夢じゃなかった」というツイートや「政府の提案はお金の無駄遣い。病院は安倍氏が提案したような布製のマスクは使っていない」という批判も紹介し、「1世帯にマスク2枚という政策は、家族が2人以上の世帯はどうすればいいのかと多くの日本人を混乱させている」と数の問題も指摘している。

人口の割に検査数が少ない

 CNNは「安倍氏の1世帯にマスク2枚という提案は、ツイッターで怒りと嘲りを呼んだ」とし、さらには今月末まで、マスクが配布されないために、感染拡大を抑えるチャンスを逸するのではないかという懸念も示している。

 また、日本は人口の割に検査数が少ない点も問題視。

「人口1億2700万人の日本は3万強しか検査していないが、人口5100万人の韓国は、39万4000件の検査を行った」と日韓の検査数を比較、「明らかに低い感染者率は間違った安全意識を生み出している」として、花見に出かけたり、マスクをつけていない人がいまだにいる問題も指摘している。

米政府も検査方針に不信感

 日本の検査数の少なさを問題視しているのは米メディアだけではない。

 在日アメリカ大使館は「新型コロナの検査を広範には行わないという日本政府の方針のため、新型コロナの罹患率を正確に把握することが困難」と指摘、日本の医療システムが機能しなくなる恐れがあることから、日本に滞在しているアメリカ市民に帰国するよう警告した。

 これは、日本の検査方針に対する米政府の不信感の現れ以外の何ものでもない。

 安倍政権は同盟国アメリカから発せられている“不信”にどう応えるのか?

在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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