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藤井聡太挑戦者(19)4連勝で最年少五冠か? 渡辺明王将(37)カド番しのぐか? 王将戦第4局展望

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 2月11日・12日。東京都立川市「SORANO HOTEL」において第71期ALSOK杯王将戦七番勝負第4局▲渡辺明王将(37歳)-△藤井聡太挑戦者(19歳)戦がおこなわれます。棋譜は公式ページをご覧ください。

 七番勝負はここまで藤井挑戦者の3連勝です。

 主催紙スポーツニッポンの1面にも、藤井挑戦者が勝者として登場し続けています。

 藤井挑戦者はあと1勝でシリーズを制します。もし19歳で王将位獲得となれば史上最年少記録の更新です。

 本局の立会人を務めるのは奇しくも中村修九段(59歳)。これまでの最年少記録保持者です。中村九段は次のように記しています。

この記録もいつか抜かされることになるのでしょう。それが瀬戸の若武者になるのか、あるいはこれから上がってくる人になるかは分かりませんが、その時のために準備をしたいと思います。

(『王将戦70年のあゆみ』)

 「瀬戸の若武者」とはもちろん、愛知県瀬戸市出身である藤井挑戦者のこと。中村九段の目の前で記録更新となるのでしょうか。

 また藤井挑戦者が王将位を獲得すると、史上4人目の五冠同時制覇。こちらも羽生善治現九段の22歳という記録を抜いて、最年少での達成となります。

 渡辺王将はカド番に追い込まれました。

 渡辺王将は自身のブログで第3局を次のように振り返っています。

第1局もそうでしたが、序中盤を乗り切ったとしても終盤でもうひと押しがないと勝てないので、それを目指して、次も精一杯やりたいと思います。

渡辺明ブログ

 渡辺王将はタイトル戦でストレート勝ちをすることはあっても、ストレート負けはありませんでした。

 それが今年度、棋聖戦で挑戦した際、藤井棋聖に0勝3敗で敗退。五番勝負で初めてのストレート負けを喫しています。今期王将戦の七番勝負ではどうなるでしょうか。

 長いタイトル戦の歴史において、七番勝負で3連敗から4連勝した例は過去に2回しかありません。それを2008年の竜王戦、最強の挑戦者・羽生善治名人を相手にやってのけたのが渡辺竜王です。(肩書はいずれも当時)

 逆転防衛の可能性はきわめて厳しい。しかしもちろん、望みがないわけではありません。

 戦略家として知られる渡辺王将。先手番となる第4局で主導権を握ることはできるでしょうか。

 渡辺王将と藤井挑戦者の対戦成績は渡辺2勝、藤井11勝です。

 立川市のSORANO HOTELでは前期第4局もおこなわれました。昨年、渡辺王将はこの地に3連勝で訪れています。そこでは永瀬拓矢挑戦者(当時)が1勝を返して意地を見せました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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