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【泉南市】『紫陽花×アート』が魅せる色合いに心が動く。梅雨の前に訪れたい「6月の楽園」

旅する日々の記憶と記録。matka08ライター(泉佐野市など)

美しいものに触れていたい。
けれど、現代社会を生きるわたしたちの環境は、見たくないもの、聞きたくないことであふれています。
目隠ししても、耳を塞いでも、日々 感情は不規則に揺らぐばかり。
ときには心と対話する「自分探しの旅」に出かけませんか?

(2024年6月9日 撮影)

「長慶寺」

神亀年間(724年頃)行基により創建され、聖武天皇の勅願寺であったと伝えられる「長慶寺」は、毎年6月に約6000株のあじさいが見頃を迎えます。 
境内全体がパステルカラーに染まる世界はまるで楽園のようで、「あじさい寺」としても親しまれています。
好きで毎年訪れているお寺ですが、今年の景色はひと味ちがうと知り、雨の日曜日に訪ねてみました。

雨に輝くあじさい

「梅雨の前に訪れたい」と言いながら、わたしがこの場所を訪れる日はいつも雨。今朝も降り続く雨に不安を感じつつ、どこか期待していました。なぜなら、雨に潤んだあじさいは、儚げで美しいから。
喜びの涙でにじんだ装飾花の密度が増し 輝く。そして、水分を含んだ葉は、青々としていてとてもきれいです。

湿り気を帯びた葉は青が深い 
湿り気を帯びた葉は青が深い 

鮮やかな色を残したまま終わりを迎えたもの、未完成のものなど、姿かたちもさまざま。いろんなあじさいに出逢い、生命の神秘と豊かな自然美に心奪われます。

ぷくぷくとまぁるい あじさいは人間の “赤ん坊” を思わせる姿かたち
ぷくぷくとまぁるい あじさいは人間の “赤ん坊” を思わせる姿かたち

白は、潔白・神聖をイメージさせる色
白は、潔白・神聖をイメージさせる色

未完成もいい。ずっと未完成でもいい
未完成もいい。ずっと未完成でもいい

なにかを語りかけるように咲くあじさいも
なにかを語りかけるように咲くあじさいも

「隅田の花火」に出逢う。しとやかさと大胆さと。そんな人になりたい
「隅田の花火」に出逢う。しとやかさと大胆さと。そんな人になりたい

同寺の人気スポット「厄除けの石段沿いのあじさい」「あじさいの小道」「あじさいの谷」も例年より花芽が多い印象で、間近に迫る梅雨入りを前に、散策を楽しめそうです。

「厄除けの石段沿いのあじさい」 石段は100段あり、女性は33段目、男性は42段目を上がったところで厄除けを念ずればご利益があるそう
「厄除けの石段沿いのあじさい」 石段は100段あり、女性は33段目、男性は42段目を上がったところで厄除けを念ずればご利益があるそう

「あじさいの小道」 晴れた日は木洩れ日に照らされたあじさいを愛でる楽しみも
「あじさいの小道」 晴れた日は木洩れ日に照らされたあじさいを愛でる楽しみも

「あじさいの谷」 深い谷に群生するあじさい。神秘的な光景
「あじさいの谷」 深い谷に群生するあじさい。神秘的な光景

ほかにも前回ご紹介した「秘密の花園」「参道沿いのあじさい」なども見頃を迎え、雨の日にもかかわらず多くの見物客の姿も見られました。

【参考記事】 まるで 秘密の花園…。知らないと見逃してしまう アジサイ寺「長慶寺」の絶景スポット

「秘密の花園」 石段途中にある入り口からどうぞ。メルヘンの世界が広がる
「秘密の花園」 石段途中にある入り口からどうぞ。メルヘンの世界が広がる

「参道沿いのあじさい」も色合いゆたか
「参道沿いのあじさい」も色合いゆたか

今年は、さらに『紫陽花×アート』の美の饗宴もお楽しみいただけます。
いつもとはちがう「あじさい寺」も素敵です。

Decoration&Exhibition in 長慶寺

「長慶寺」では、2024年6月1日(土)~16日(日)の間、泉南市出身の画家・アーティスト アカダチアキさんの作品(暖簾・オーガンジー)本堂香炉堂山門に装飾中。また、期間中 あじさいをモチーフにした限定 御朱印”のご用意もありますので「あじさい観賞」の記念にぜひ。

アカダチアキ 
【プロフィール】
オイルパステルでスクラッチ技法を使ったアート作品を手掛ける画家・アーティスト。TBSのバラエティ番組「プレバト !!」でスクラッチアートの先生として出演の他、泉南市内でもイベントを開催。泉南市にアトリエを構える。

アカダチアキさん公式インスタグラム(外部リンク)→Chiaki Akada アカダチアキ

本堂・香炉堂・山門の装飾の中で、わたしが一番心に響いた景色は100段の石階段を上った先に見えてくる山門の装飾でした。
荘厳な雰囲気を一変させるやさしいアートが心に沁みます。

塗り重ねたオイルパステルで「雨のあじさい(作品タイトル「rain」)」を表現した暖簾と、薄紫色のオーガンジーのゆらめきが境内を彩ります。

アカダチアキさんが描く作品は大胆さと和の繊細さをあわせもち、年を経た寺の山門と現代アートが織りなす景色は、まるで歴史の影絵のよう。

時代を超え、受け継がれてきたものがここにあり、その想いを未来へ託す。
滲む色合いは未知なる可能性だとも受けとれます。
ここで出逢ったあじさいたちの記憶も手伝ってその色はとても鮮やか。

心が動き、目に見えない光景が光の中に溶けてゆく。
そんな不思議な感覚を覚えました。

ご実家の押入れでクレヨンを見つけたことがきっかけで、スクラッチアートに目覚めたというアカダチアキさん。オイルパステルを使い、濃く塗り重ねた色を削り下の色を出す「スクラッチ技法」でさまざまな世界を表現しています。

詳しいご紹介は「広報せんなん 6月号」にインタビュー記事が掲載されていますが、その中の “ある言葉” がとても印象的でした。

目に見えない感情までも、表現できるのがアートの魅力なんです

この日わたしが受けとったものが、果たして正解かどうかはわかりませんが、
生きてきた軌跡によってその感じ方は変わるのかもしれません。
文章も同じだと感じました。
目に見えない光景や言葉にしがたい感情を、軽やかに描ける書き手になりたい。
大きく心が動いた一日でした。

「Decoration&Exhibition in 長慶寺」最終日6月16日(日)には、「アートと食の1日美術館」が開催されます。アカダチアキさんの公開制作に加えて個展も開催されますので、「心が動く」チャンスです。ほかにもオリジナルスイーツなどの飲食ブースの出店やトークイベント(作品制作についてのお話など)など盛りだくさん。

ときには、デジタルと距離をおき、心と対話する1日を。
「6月の楽園」は、雨の日も素敵です。

今のわたしに響く色はピンク 「じぶん色」を探して
今のわたしに響く色はピンク 「じぶん色」を探して

【基本情報】
スポット名:「真言宗泉湧寺派 長慶寺」
住所:泉南市信達市場815 (Googleマップ参照)
Tel:072-483-2692
定休日:年中無休(寺務所開室時間 9:00-16:00)
駐車場:あり(100台)
アクセス:JR阪和線「和泉砂川駅」下車徒歩12分、JR阪和線「新家駅」下車 
コミュニティバス一丘方面回り「新家駅」バス停より「市場青年会場前」下車徒歩10分(泉南市さわやかバス時刻表(外部リンク)参照
*記事内容は取材当時のものです。開花情報、イベントの詳細につきましては、泉南市観光ガイド「恋するせんなん」公式ホームページ(外部リンク)をご確認ください。



ライター(泉佐野市など)

大阪府泉南市・泉南郡・泉佐野市担当。 なんでもない日々を旅するように暮らす日常写真家。「ローライ35s」という小さなフィルムカメラでささやかな日常を記録しています。私たちのまちのちょっとうれしくなるあんなことこんなこと。みなさまの日常がもっともっと楽しくなりますように。 2023年2月、2023年5月、2024年9月MVA受賞

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