「『死ね』というツッコミはしない」。漫才でもコントでもない「ジャルジャル」というジャンル
コント日本一を決める「キングオブコント2020」の決勝戦が26日に行われ、お笑いコンビ「ジャルジャル」が王者になった。
関西を拠点にしていた頃から幾度となく取材をし、また、関西テレビ「ジャルやるっ!」などで数回共演もさせてもらったが、その度に、2人が売れる理由を感じてきた。
才能ある者が努力をする。プロの世界で勝ち抜くための極めてシンプルな道理。それをひたすら貫く。2018年2月からコント動画をYouTubeチャンネルに毎日アップし、総再生回数は3億回を超えているが、それは氷山の一角に過ぎない。
3月に拙連載でインタビューをした際にも、ネタへの思いを語っていた
「単独ライブやる時に毎回ネタを150本くらい考えるんです。その中からライブでは10本ほどやるんですけど、140本くらいはボツになってるんです。それをYouTubeにアップして“成仏させる”と言いますか。そんな思いもあって、始めた企画でもあったんです。ただ、YouTubeを見て単独ライブに来てくださったお客さんには『あ、やっぱり単独ライブの方が面白いんやな』と思ってもらえるようにしないといけないんですけどね」(後藤)
ネタにこだわりを持ち、妥協しない。そこに至る大きな転機があった。
「『爆笑レッドシアター』(フジテレビ、2009年~2010年)で人気が出て、単独ライブもすぐチケットが売れるようになりました。でも『レッドシアター』が終わったら、お客さんが離れて行ったんです。そら『こんなに離れるか』というくらい離れました。それを経験したので、もう、そうはならないように…。しっかりとお客さんを掴む。より一層、その思いが強くなりました」(福徳)
「ライブを見てもらったうえで『面白くない』となったら、もう、本当にしゃあないです。一番見てほしいところですし、一番自信があるところですし、本当の姿ですから。そこは言い訳できません」(後藤)
また、後輩芸人からも大きな尊敬の目で見られている。7月に行われた「ABCお笑いグランプリ」で優勝した若手コンビ「コウテイ」に拙連載で話を聞いた際、ツッコミの九条ジョーが「ジャルジャル」について言及していた。
「『ジャルジャル』さんは、もう『ジャルジャル』と聞いただけで、みんなの中に笑いの方向性というか、イメージができる。そんな状況が築ければ一番うれしいです。ゆくゆくは『コウテイ』というジャンルを確立し『ジャルジャル』さんみたいに『コウテイ』と聞くだけで『あ、そういう感じね』となるようなものを作り上げたいです」
漫才でもコントでもない「ジャルジャル」というジャンル。圧倒的な物量を経た上での、独自の味。実は、そこの味付けにこだわりの“レシピ”があるという。
「これはずっと変わらず根本としてあるものですけど『死ね』というツッコミは言わないですね。やっぱり、常にハートフルでありたいというのはあります。ハートフルであってほしいとも思いますし、どんなことでも根本は楽しく。そこはずっとそうですね」(福徳)