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2023年世界の年平均気温ランキング予測 ラニーニャ終わり、温暖化加速も

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
世界の年平均気温(陸上における地上付近の気温と海面水温)の偏差の分布図(気象庁)

 2022年の日本の年平均気温は1898年以降(124年間)で4番目に高くなりました。日本の年平均気温は100年あたり1.30度の割合で上昇していて、トップ5はすべて2016年以降に記録されたものです。

記録的高温は4年連続

 近年、暑い話題に事欠きませんが、2022年の日本の年平均気温の基準値からの差はプラス0.60度です。2019年から4年連続で記録的な高温となり、気温の上昇に歯止めがかからない状態が続いています。

日本の年平均気温偏差グラフ(筆者作画)
日本の年平均気温偏差グラフ(筆者作画)

 世界の年平均気温も記録的に高くなりました。7月は英国で史上初の40度に達するなど、欧州は500年で最悪とも言われる熱波と干ばつに見舞われました。また、中国でも長江が干上がり、水力発電の不足による計画停電が日系企業に影響しました。

 気象庁による2022年の世界の年平均気温(1月~11月)は基準値を0.24度上回り、1891年以降では6番目の高温です。

2023年も猛暑確実?

 2023年も暑くなるのでしょうか。米海洋大気庁(NOAA)による世界の年平均気温ランキング予測ではトップ5に入る確率が49.7%、トップ10に入る確率は98.6%と非常に高くなっています。

 2010年以降、毎年のように記録が更新されている現状をみれば、予想するまでもなく、上位に入ることはほぼ確実でしょう。

ラニーニャ終わり、温暖化加速も

 2023年は注目すべき年になると予想する専門家もいます。英気象庁(Met Office)の長期予報責任者は地球を一時的に冷やすラニーニャ現象が終わるため、2023年は2022年よりも気温が高くなるだろうと述べています。

2023年世界の年平均気温予測(英気象庁ホームページより)
2023年世界の年平均気温予測(英気象庁ホームページより)

 ラニーニャ現象というと異常気象を連想しますが、実は太平洋赤道域の広範囲で海面水温が低下するため、地球を冷やす効果もあります。

 それが今年は期待できない。むしろ、ラニーニャ現象が発生していても、気温の上昇が止まらなかったことに危機感を持つべきなのかもしれません。

【参考資料】

気象庁:2022年の天候と台風のまとめ(速報)、2022年12月22日発表

気象庁:2022年(令和4年)の日本の天候、2023年1月4日発表

米海洋大気庁(NOAA):Earth saw its 9th-warmest November in 143 years、December 14, 2022

米海洋大気庁(NOAA):NCEI’s Global Annual Temperature Rankings Outlook

英気象庁(Met Office):2022 provisionally warmest year on record for UK、28 Dec 2022

英気象庁(Met Office):2023 set to be tenth consecutive year at 1C or above、20 Dec 2022

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは128冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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