なぜバルサは“ビッグマッチ”を落としたのか?バイエルンの鉄壁とレヴァンドフスキ依存の攻撃。
天敵を相手に、崩れ落ちた。
バルセロナはチャンピオンズリーグ・グループステージ第2節でバイエルン・ミュンヘンと対戦した。敵地アリアンツ・アレナでの一戦を0−2で落としている。
「この結果に騙されてはいけない。前半、僕たちは決定的なチャンスを幾度となく作った。でも、バイエルンのようなチームが相手だと、そういうチャンスでゴールできなければ代償を払うことになる」とは試合後のペドリ・ゴンサレスのコメントだ。
「僕たちは素晴らしい試合をしたと思う。ミスはあったけれど、バイエルンを相手に競えていたし、勝ってもおかしくなかった」
■レヴァンドフスキのパフォーマンス
バルセロナはビッグマッチでレヴァンドフスキが2度決定機を逸した。
この夏、大型補強を行ったバルセロナだが、攻撃の中心はロベルト・レヴァンドフスキだ。レヴァンドフスキ自身、期待に応えるように、7試合9得点と爆発していた。
だがバイエルンの壁は厚かった。GKマヌエル・ノイアーが最後尾に控え、集中した守備でバルセロナの攻撃を跳ね返した。
今季、ポゼッション、カウンター、トランジション、パスワーク、クロス攻勢、多くのパターンで攻撃を仕掛けているが、最終的にはレヴァンドフスキの決定力の高さありきでバルセロナの攻撃が成り立っている。
レヴァンドフスキは、チャンピオンズリーグ・グループステージ第1節のビクトリア・プルゼニ戦でハットトリックを達成して、異なる3チームでハットトリックを記録した史上初の選手になった。ボルシア・ドルトムント、バイエルン、バルセロナで、決定力を見せつけてきた。
チャンピオンズリーグにおいて、レヴァンドフスキ(87得点)よりゴールを記録しているのは、クリスティアーノ・ロナウド(141得点/マンチェスター・ユナイテッド)、リオネル・メッシ(125得点/パリ・サンジェルマン)のみだ。
しかし、頼みの綱であるレヴァンドフスキが封じられた時、バルセロナに打つ手はなかった。
無論、バルセロナにとって、バイエルンは天敵だった。直近5試合で5敗を喫しており、その間4得点19失点という数字だった。
■依存しない形
バルセロナは、長い間、メッシに依存していた。
バルセロナのカンテラ出身選手であるメッシは、2004−05シーズンにトップデビュー。2006−07シーズンからレギュラーポジションを奪取すると、以降、ゴールゲッターとして活躍した。
「史上最高の選手がいなくなったんだ。その痛みは永遠に消えない。しかし、現在、違いをつくる選手は他にいる」とはシャビ・エルナンデス監督の言葉だ。
メッシは2021年夏に退団するまでにバルセロナで778試合に出場して672得点をマークした。そのメッシが不在となり、昨シーズン、バルセロナは無冠に終わった。
メッシの代わりになる選手が求められる中、獲得されたのがレヴァンドフスキだった。だが、バイエルン戦ではレヴァンドフスキがノーゴールに終わり、チームも敗れた。それはつまり、バルセロナに本当の意味で要求されるのが、レヴァンドフスキに「依存しない」攻撃であることを意味する。メッシ依存でもなく、レヴァンドフスキ依存でもない新たなスタイルが、シャビ監督のバルセロナには必要だ。
とはいえ、このバイエルン戦で、バルセロナが「戦える」というのを示したのも確かだ。
「多くの場面で我々は上回っていた。フィジカル面で対等に渡り合い、ポゼッションで勝っていた。しかし、あれだけシュートを外しては厳しい。それが結果に反映された」
「試合を支配したが、敗れた。そういう感覚だ。学ぶというのは、タフなことだ。私はフラストレーションを感じている。その一方で、誇りを感じてもいる。我々は相手より優っていた。だが、最終的には勝つかどうか、だ。バイエルンはすでに完成されたチームだ。バルサは過程の中にいる。結果は残念だったが、向上し続けなければいけない」
これはシャビ監督の言葉である。
直近5試合で、バルセロナはバイエルンに全敗していると先述した。しかしながら、今回のゲームが、最も勝利あるいは勝ち点奪取の可能性を感じさせた。
シャビ監督のアウェー戦無敗記録は17試合で途絶えた。だがシーズンは始まったばかり。まだ立ち上がる余力は十分に残されているはずだ。