カリブ海・ジャマイカに、未曾有の最強ハリケーン直撃か
カリブ海に浮かぶ楽園・ジャマイカにハリケーンが迫っています。早ければ、現地時間日曜日夜(日本時間月曜昼頃)にも、ジャマイカ史上最強の勢力で直撃する恐れがあります。
2016年は、大西洋でも記録的なペースでハリケーンが発生しています。現在発生中のハリケーン・マシュー(Matthew)は、台風のスケールで最強のカテゴリー5まで発達を遂げていて、2007年以来、大西洋上で最も強いハリケーンとなりました。
現地時間土曜日朝の時点で、中心気圧は941hPa、最大瞬間風速は75mとなっています。今後、勢力をほぼ保ったまま、早ければ日曜日の夜にジャマイカ東部を直撃、国内史上最強のハリケーンとして記録に残る可能性があるのです。
ジャマイカのハリケーンの過去の統計
楽園のイメージとは打って変わって、ジャマイカはしばしばハリケーンの影響を受けます。主に9月と10月が多いため、この時期は、観光客がやや少ないようです。
ではハリケーンは、ジャマイカにどのくらいの頻度で襲来するのでしょうか。
フロリダ州立大学の調べによると、過去110年のうちで直撃したものは12個で、9年に一度の頻度だとのことです。
ただ直撃数だけでなく、接近したハリケーンの数も含めると、年に0.7個となるので、ハリケーンはそれほど珍しいことではありません。ただ、その大半がカテゴリー2以下のハリケーンで、今回のような強いクラスのものは非常に珍しいのです。
ジャマイカ史上最強のハリケーン
ジャマイカを直撃したハリケーンで最強と言われているのが、1988年のハリケーン・ギルバートです。ギルバートは今回のマシューよりもやや勢力が弱かったのですが、その被害は壮絶なもので、当時の大統領は「広島の原爆の跡地のようだった」とも述べています。なお死者は約50名に及びました。
危惧される災害
今回予想される雨量は、多いところ600ミリ以上、最大瞬間風速は75メートルに及びます。
ハリケーンの直撃が予想される南東部には、首都のキングストンが位置しており、洪水や高潮の影響で首都機能に影響が出る恐れがあります。
さらにハリケーンの進路にあたる北東部は、コーヒー豆の生産地ブルーマウンテンがあるなど山がちな地形となっているために、鉄砲水や土砂崩れといった災害が起きる可能性も高いのです。
観測を行っているNOAAも、今回のハリケーンは「極めて危険(Extremely dangerous)」と呼んでおり、危機感を募らせています。また、ジャマイカのほか、2010年に大地震があったハイチや、キューバといった近隣諸国にも影響が出そうで、カリブ海広域で最大限の警戒が必要な状態となっています。
*最新のハリケーン情報はこちら(NOAA)をご覧ください*