阪神タイガースの青柳晃洋投手、愛と思いやりで中身もイケメンな『一日人権擁護委員』
第69回人権週間(12月4日~10日)に合わせて、ことしも尼崎市人権啓発活動地域ネットワーク協議会などの主催で、阪神尼崎駅北側の中央公園において街頭啓発活動が行われました。阪神タイガースの選手も毎年『一日人権擁護委員』として啓発キャンペーンのお手伝いをするのが恒例で、ことしは青柳晃洋投手(23)です。
まず14時から大島幼稚園の園児たちが元気に演技を披露。この時点でもう、例年より多くの方が特設会場の周囲に集まっておられました。そのあと式典に入り、来賓の方々のご挨拶、そして青柳投手を『一日人権擁護委員』とする委嘱式と続きました。委員の方から委嘱状を受け取り、白いたすきをかけてもらって出来上がりです。
ここで、おなじみの尼崎市人権擁護委員・重本克代さんからインタビューを受ける青柳投手。園児たちのパフォーマンスを見た感想を聞かれ「可愛らしい演技をしてくれて、すごく嬉しかったですね」と笑顔。青柳投手はどんな園児だった?賢かった?という問いに「いや賢くはないです」。いじめっ子じゃなかった?「いい子でした」というやり取り。
駅前に集まってくださった皆さんの中には、青柳投手の名前入り応援タオルを掲げたファンの方もおられ、そこで急きょ始まった質疑応答。指名されたファンの方が「よく聞かれると思いますけど…」と切り出したので、あとに続く問いは予想可能でしたね。
「なぜそんなにイケメンなんですか?」
やはり来ましたよ。しかも真顔で。すると青柳投手は「ファン感謝デーでも聞かれたんですけど、これはまあ生まれ持ったものなので仕方ないですね」と答えて、場内を笑いに包みました。さすがです。というか、ますます自信に満ちた“返し”。腕を上げていますねえ。
次はサイン会で、本当は主催者側が用意した色紙のみに書くはずだったのですが、ファンの方が自身で持ってこられたユニホームやボールへのサインや、横に並んでの写真撮影など…。でも青柳投手は終始ニコニコと会話をしながら応じていました。
そのあとは、いよいよ街頭啓発キャンペーンにスタート。人権擁護委員の方々、地元ケーブルテレビや新聞のカメラマン、私たち記者陣を従えて、まず阪神尼崎駅構内、ついで尼崎中央商店街と歩きます。啓発グッズを手渡し、握手をしたり記念撮影をしたり。その間もやはり穏やかな笑顔を見せ、気さくに話をする青柳投手は委員の皆様にも大人気です。
何が驚いたって(…という表現こそが失礼なんですけど)、商店街などで会った女性の方々が口を揃えて「わあ男前やん!」「かっこいい!」とおっしゃっていたこと。やっぱり伝わるんだなあ、優しさや温かさは。と思ったら、そうでもないんですよ。皆さん顔を見て真剣に「男前」だと、ささやいておられました。まあ、ささやいても全部聞こえていますけどね(笑)。
“いじり”には愛情がある
街頭啓発が終わり、控室に戻ってから囲み取材に応じてくれた青柳投手。こういった“啓発キャンペーン”のイベントは初体験だそうで、“一日○○”というものは「沖縄で一日警察署長をやったくらいですね」と言っていました。
ことしは多くの方が来られたことに「初めてなので多い少ないはわからないですけど、1軍である程度出させてもらったことで“名前”はあったかも。(応援用の)タオルを持ったりしてくれているのは嬉しかったです」とコメント。
インタビューのところでは聞かれなかったけど、人権に関して何か考えてきていた?「人権について聞かれると思ったので、考えていました。板山が去年、聞かれたと言っていたから」。ちゃんと板山選手にもリサーチしてきたわけですね。そして「いじめをなくすのは大変なことだけど、環境が大事だと思う。環境がまず変わらなければ」との持論を少し話しています。
また昨年に続いてファン感謝デーでもおなじみになった、青柳投手の“いじられキャラ”について聞いてみると、こんな答えでした。「愛情のあるのが“いじり”なんですよ。思いやりがあるかないかの違いでしょう。思いやりを持って接すれば、それはいじめじゃないと思います」
まあ先輩方の突っ込みにも、青柳投手が堂々と返しているので余計に明るく盛り上がるんですよね。「僕もやり返します。中谷さんとかに。やり返しても平気な感じなので大丈夫です」とキッパリ。なるほど。そこに“愛”があるから。
同級生のプロ入りを励みに
では野球の話に移ります。今、トレーニングはどこで、どんなふうに?「鳴尾浜でやっています。強化指定選手と同じようなメニューですね。体作りが一番ですし、この時期なのでそこをメインに。今より筋力アップというか、いい体作りをやっていけたら」
年末年始は?「地元に帰ったら、西村や塩見と一緒にできるといいなと思っています。帝京大で。でも西村は和歌山だからどうかなあ。特に他のプロ野球選手とやることはないです」
そういえば、帝京大学の同級生がプロ入りしたと喜んでいましたね。西村天裕投手は和歌山商高~帝京大~NTT東日本を経て、日本ハムにドラフト2位で入団。塩見泰隆外野手は武相高~帝京大~JX-ENEOSで、ヤクルトにドラフト4位入団です。2人とも社会人出身だし、来シーズン早々に対決があるかもしれません。交流戦も楽しみにしましょう。
ところで、荒れ球が持ち味でもある青柳投手としては、巨人のマイコラス投手がいなくなると与死球がリーグトップになってしまうのでは…という記者陣の振りに「僕、2年連続2位ですよね?どうしましょ」と苦笑していました。そうなんです。昨年はヤクルトの山中投手が9個でトップ、青柳投手は8個で2位タイ。ことしはトップがマイコラス投手の11個、青柳投手は単独2位の10個。どちらも1個差でしたね。
来年も「嫌がられてなんぼ!」
「狙っているわけじゃないから気にはしていないです。抜けた球もあるけど、攻めていってのデッドボールなので。当てすぎと言われて、それで自分のボールを投げられなくならないようにしたいですね」。当てすぎと言われる?「…見ていてそうじゃないですか?2試合で6個とか。それで上位になってしまう。でも僕のスタイルとしては、相手に嫌がってもらってなんぼ、なので」。いいですね、この言葉。
巨人のバッターは嫌がっているように見えますよ。「嫌そうにはしていますね。右バッターが特に嫌そう。来年はその右プラス、左バッターをどうするか。そこを考えていきたい」。左バッター対策はどんなふうに?「配球と球種、両方ですね。秋季キャンプからカットボールとか、小さく入ってくるボールを練習しています」
左バッターには当てていない?「何人か当てましたね。左の場合、内を狙って少し当たっちゃう感じ」。あ、左にも当たっちゃってるわけですね。
最後に、秋季キャンプの練習試合(11月11日・LG戦)で1回3安打2失点と精彩を欠き、金本監督から「チャンスもどんどん減っていきますよ」と、かなり厳しい言葉を浴びた青柳投手。それを踏まえて「3年目は、1年間通して“結果で”使ってもらえるようにしていかないと」と決意を新たにしました。
<掲載写真は筆者撮影>