「若狭野の天神さん」、「あじさい神社」といった愛称で親しまれている「若狭野天満神社(わかさのてんまんじんじゃ)」をご存知ですか。相生市若狭野町の国道2号からほど近い、山の上にある神社です。境内で咲き乱れる美しいあじさいは必見です。全国的に有名な「魔除けあじさい守り」もこの神社発なんですよ。

美しく整備された清々しい境内

「若狭野天満神社」は、相生市若狭野町の国道2号のすぐ北側の道に参道の入り口があり、やや急な坂道を登ったところにある神社です。

急斜面でやや細い参道なので、車で登っていけるのかなと、少し不安になりますが大丈夫。
そのまま山の上まで上がっていくと広い境内に出ます。
国道からも近いのに、喧騒を感じさせない静かで凛とした佇まい。空気も美しく、きちんと整備された境内が清々しく、お詣りをすると心が清らかになる、そんな印象を受ける神社です。

天神様としてだけでなく魔除けの神社としても有名

文武両道の神・菅原道真公(すがわらみちざねこう)と、天照大神（あまてらすおおみかみ）の長男に当たる天忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)の二神をご祭神としてお祀りしています。
境内に咲くあじさいが魔除けや厄除けのご利益がある花とのことから、魔除けの神社「魔除け天神」(まよけてんじん)としても知られています。

本殿脇には、海(水)の神様である少童命(わたつみのみこと)をお祀りする龍王神社(りゅうおうじんじゃ)【若宮】が鎮座し、商売･金財運、勝負･武運、家運･子孫繁栄の神様としても崇められています。

拝殿脇にある「絵馬堂」には、なんと「赤穂四十七士」の絵馬が飾られています。
相生市の神社で四十七士の絵馬を見るとはビックリしましたが、こちらもともとは赤穂郡だったので、特に不自然ではないとのこと。そのほか、神功皇后馬上絵馬など、文化財的にも重要な古い絵馬も奉納されています。

色とりどりのあじさいがきれい

拝殿に向かって右手には「あじさい園」があり、約100本のホンアジサイやガクアジサイが見ごろを迎えています。
今から35～36年前には、境内や山中も含め多くのあじさいが咲き乱れ、その数たるや日本最大級の規模だったそうです。
その後、害虫被害やシカ被害などで株が激減し、今は鉄の柵をつけるなどして防御しています。

昨年、参道沿いに県民緑化事業の一環として、村の人たちが中心となって、アジサイの大きな株を150株植えたそうです。大きくなるのが楽しみですね。

あじさい園は本当に美しく、きちんと整備されているのが分かります。
「神社を訪れる方に、森林浴ならぬ”神林浴”してもらい、癒しを感じてほしいんです」と宮司の福田命さん。あじさい園に関しても、光と影を意識しながら、枝を切ったり草刈りしたり、美しいレイアウトを考えられているそうですよ。それを感じながら回ってみるのも楽しいかもしれませんね。

「魔除けあじさい守り」が全国的に有名

実はこの神社、「魔除けあじさい守り」でも全国的に有名なんです。

「6月の6が付く日に、名前と生年月日を書いた半紙で、あじさいの花（水引付き）をくるんだものを、玄関、軒下、台所など家のなかに、婦人病を気にする方は、お手洗いに逆さに吊るすと、無病息災のご利益がある」という文化・習わしを聞いたことがありませんか︖　お手洗いにあじさいを吊るすという習わし自体は昔からあったとのことですが、魔除けあじさいと命名し、水引を付け、名前・生年月日を書いた半紙でくるみ、（あじさいの季節である6月の、特に二十四節気の6月6日は、大地に種をまき生命を育む芒種〔ぼうしゅ〕の日であることにちなんで）6が付く日に吊るすという作法にしたのは、実はこの神社が発だそう。

この神社では、15年程前から、神社の境内に咲くあじさいを切り取り丁寧に乾燥させ、神職が御祓いしたものをお守りとして授与していますが、いろいろなメディア（テレビや新聞、本や雑誌）で紹介され広がっていったとか。

「今では一つの文化として定着し、独自にいろんな形態へと変化していますが、当神社が正式といいますか、最初だったんです。多くの方が、魔除けあじさい守りを吊るすその機会と御神徳にあずかれるよう、特に6月に限定せずとも、毎月6のつく日で大丈夫ですよとお伝えしています」と福田さん。

お守りなど縁起物は、社頭授与が基本ですが、この神社では希望の方には発送もしています。
残念ながら昨年分の授与は終了し、今咲いている分を使った新規作製分の授与開始は10月中旬以降となるそうです。

そのほか境内は、楽しいおみくじや、ご朱印、新しいご朱印帳など、話題がいっぱいな「若狭野天満神社」。一度お参りしてはいかがでしょう。きっと清々しい気持ちになるはずです。

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