大流行間近!? ポケモン、ディズニー...「キャラクター・ファッション」がトレンドに
今秋から来年の春夏にかけて、キャラクター・ファッションがトレンドになるかもしれない―――。
キャラクターをプリントしたアイテムと言えば、ユニクロ(UNIQLO)のTシャツブランド「UT」などでお馴染みだが、これまではオシャレ目的よりかは“ファンアイテム”として親しまれてきた。
だが、ファッションブランドの最新作をみていると、その印象が少しずつ変わりつつある。これまでは「ディズニー」を筆頭とした外国産キャラクターのイメージが強かったが、今年は「ポケットモンスター」などの国産キャラクターも登場。またサイズはキッズだけでなく、女性・男性向けからユニセックスまで着用できるよう提案するブランドも増えている。
それでは、どんなキャラクターとブランドの組み合わせがあるかを実際に紹介しながら、トレンドになり得る可能性を推察していく。
ファストファッションからハイブランドまでキャラクターに注目
H&M×MOSCHINO×Disney
まずは毎年話題をさらう「H&M」のデザイナー・ コラボレーション企画から紹介。2018年のパートナーは、アメリカ人デザイナーのジェレミー・スコット率いる「モスキーノ(MOSCHINO)」に決定している。
「モスキーノ」はジェレミー・スコットがデザイナーに就任してから、遊び心溢れるパロディーやポップな色使いで知られているが、このコラボレーションの中でも「ディズニー」キャラを使用したアイテムを数多く発表している。11月8日発売だが、今年も即日完売が予想される。
UT×KAWS×Sesame Street
「UT」のキャラクター・コラボTシャツの中でも一際注目を集めている、現代アーティスト・カウズ(KAWS)のコラボレーション。ユニクロとカウズは2016年から毎年コラボしているが、今年はカウズ本人の要望により実現した「セサミストリート(Sesame Street)」とのトリプルコラボ。6月の第一弾に続き、11月22日に第二弾コラボを発売する。
また、ユニクロは10月23日から始まったTシャツのデザイン・コンペティション「UT GRAND PRIX 2019」のテーマを「ポケモン」に設定している。
このようなファストファッションの単発プロジェクトだけでなく、NY、ロンドン、ミラノ、パリ、東京の順で各都市で約1週間にわたって様々なブランドが新作を発表するファッション・ウィークを見渡しても2019年春夏コレクションはキャラクターアイテムが数多く登場した。
COACH×Disney
今年から水原希子がブランド・アンバサダーを務めていることでも記憶に新しい「コーチ(COACH)」。2019年春のテーマの一つは、アメリカン・カルチャーを再構築すること。「ディズニー」とのコラボは、アメリカン・ポップカルチャーの代表としてランウェイに登場。黒一色に統一した細身なシルエットからオーバーサイズのスウェットを着た逆三角形のシルエットなど、スタイリングでもキャラクターアイテムを着ているとは思えないスタイリッシュな着こなし提案を行った。
UNDERCOVER×魔法の天使クリィミーマミ
「アンダーカバー(UNDERCOVER)」の2019年春夏は、メンズ、ウィメンズともに「魔法の天使クリィミーマミ」とコラボレーションしたアイテムを発表した。他ブランドが「ディズニー」や「ポケモン」といったキャラクターを提案する中、「アンダーカバー」はキャラクター(ポジとネガ)だけでなく人物(クリィミーマミ)イラストを使っているのが特徴だ。
JEREMY SCOTT×Pokemon
冒頭で紹介した「モスキーノ」のデザイナーでもあるジェレミー・スコット自身のブランド「ジェレミー・スコット(JEREMY SCOTT)」の2019年春夏では「ポケモン」とコラボレーション。キャラクターを大きくみせるというより、柄で落とし込んだデザインが特徴だ。
GCDS×Pokemon
今季のミラノ・コレクションで話題を集めた「GCDS」の2019年春夏。ポケモンコラボでは、人気キャラクターのピカチュウをはじめ、プリンも採用。また、他ブランドよりもキャラクターを前面に打ち出しているデザインが特徴だ。
FRAGMENT×Pokemon
最後に、NYに次いでAmazon Fashion Week TOKYOで10月20日に国内初公開された藤原ヒロシ率いるデザイン集団「フラグメント(FRAGMENT)」とポケモンによる合同プロジェクト「サンダーボルト プロジェクト(THUNDERBOLT PROJECT)」を紹介。
「ポケモンをファッションに落とし込む」、「誰もが着られるデザイン」をコンセプトに、ピカチュウやミュウなどの人気キャラクターをベースに、「フラグメント」らしい雷アイコンをいかしたプリントデザインが特徴。商品は年内に予定しているGinza Sony Parkのポップアップストアで購入できる。
本プロジェクトの発足理由について、「ポケモン」の企画担当者は「ポケモンファンだけでなく、様々な人にとって新しいポケモンの価値・イメージを得るきっかけとして、ファッションの可能性は大きいと感じています。ポケモンが誕生して22年経過し、幅広い世代でグローバルに親しまれている土壌があるからこそ、今チャレンジできる分野だと信じています」とコメントした。
様々なブランドの広報担当者に取材をしていて興味深かったのは、コラボしている理由がそれぞれ異なることだった。あくまで自分たちのテーマの延長線上に「キャラクター」が存在していた。このような同時多発性に時代のムードを感じた。
それでは「キャラクターコラボが多い」という理由以外にトレンドになり得る可能性を推察していく。
トレンドになり得る伏線はインスタ&ロゴマニアブーム
ファッションは時として、今のトレンドと相反するものが新しいトレンドになることもあるが、トレンドの多くが時代の流れの中でアップデートするように生まれてきている。今回のキャラクター・ファッションに関しては後者の文脈でトレンドになり得る可能性として注目している。
2017年頃から「グッチ」や「バレンシアガ(BALENCIAGA)」をはじめとしたハイブランドから、「アディダス(adidas)」や「フィラ(FILA)」といったスポーツ&カジュアルブランドまでがロゴを大きくプリントしたアイテムを打ち出した。これがZ世代(1990年代半ばから2000年代に生まれた人)やミレニアル世代(1981〜1996年の間に生まれた人)に刺さった。アイテム着用画像は「インスタグラム」にアップし、“ロゴマニア”という名で世界的な流行として広がった。ひと目で「ブランド物」とわかるステータス性が「インスタ」にマッチしたことが大きな要因の一つと言えるだろう。
2018年秋冬〜2019年春夏にかけては、Z世代やミレニアル世代の特徴でもある“わかりやすさ”のメンタリティーが継続しつつも、ブランドロゴのようなテキストではなくグラフィックに移行し、キャラクター・ファッションがトレンドになり得るのではないかと推察する。
「APE」のような一大ムーブメントを起こすブランドがどこかに
今秋から来年の春夏にかけて注目キャラクターは、上記で紹介したような、今年でスクリーンデビュー90周年を迎えたミッキーマウス(ディズニー)や2016年に20周年を迎え「Pokemon GO」で再び社会現象を起こしたピカチュウ(ポケモン)が最有力。
だが、このキャラクター・ファッションがトレンド化するにあたって、もう一つ注目しているのがファッションブランドから生まれる新たなオリジナル・キャラクターの登場だ。既存キャラクターのファッション化だけでなく、Z世代やミレニアル世代が求めるようなオリジナルキャラが新たに出現すれば、また「ア ベイシング エイプ(A BATHING APE)」のように日本から世界的なブランドが誕生するかもしれない。
現に、日本のせーのが展開するブランド「#FR2」は代表格の一つだ。「#FR2」はうさぎのアイコンや、「Smoking Kills」などの痛烈なメッセージやパロディで話題を集めているストリートブランド。「インスタグラム」の文章は日本語と英語で投稿する他、上海やシンガポールでポップアップストアを行うなど海外戦略に力を入れている。今はアジア市場を中心に攻めているが、欧米進出が本格化すればグローバルブランドとして巨大化する可能性は十分にある。
そんな“夢”を与えてくれる魅力がキャラクター・ファッションにはある―――。