北朝鮮で「将軍様」に重大事件か…突然の厳戒態勢に国民困惑
2011年12月17日は北朝鮮の金正日総書記が亡くなった日だ。生誕記念日と同様に重要な日として扱われ、様々な行事が行われる。
そんな重要な日ではあるものの、亡くなってから13年で、今年は整周年(5や10で割り切れ、重要とされる年)ではない。それにもかかわらず、金正日氏の銅像、石膏像、肖像が描かれたモザイク壁画の特別警備が命じられたと、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。
平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、今月15日、故金日成主席と金正日氏の銅像、一家を描いたモザイク壁画に歩哨(警備)を立てるよう指示が下されたと伝えた。「首領(最高指導者)保衛事業」というものだ。
首都・平壌の万寿台(マンスデ)の丘に立つ高さ23メートルの巨大銅像をはじめとして、北朝鮮の主要都市には金日成、金正日両氏の銅像が立てられている。このような銅像が全国に70体あり、半身石膏像も600体以上存在する。
(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命)
それに加えてモザイク壁画や「永世塔」など、歴代指導者を神格化するオブジェはいたるところにある。
寒空の下での警備は非常につらいものだ。民兵組織の「労農赤衛隊」の軍服を着て、2時間にもわたってモザイク壁画の両側に別れて立つ。しかも、郡党の幹部や安全員(警察官)が、きちんと警備を行っているかパトロールにやってくる。
羅先(ラソン)市の情報筋は、今までは5年、10年の整周年にのみ「首領保衛事業」との名目でこのような警備を行ったが、今年は整周年でもないのにこのよう指示が下されたとし、「氷点下10度近くまで下がる夜中までモザイク壁画、胸像の警備を、住民を動員してまで行うなんて、当局のやり方が理解できない」と首を傾げた。
当局が、このような警備の指示を下した理由は明らかになっていないが、おそらく破壊行為を恐れているのだろう。
RFAの慈江道(チャガンド)の情報筋は知人の保衛員(秘密警察)から、「2015年7月に平安南道(ピョンアンナムド)徳川(トクチョン)で永世塔の爆破未遂事件が起きたが、犯人の逮捕に至らなかった」との話を聞いたという。爆弾は、窒素肥料を詰めたドラム缶でできたものだった。
(参考記事:北朝鮮で金正恩氏の暗殺未遂…「専用列車を爆破」秘密警察が報告)
その際にも、今回のような特別警備が行われたという。
また、2014年には咸鏡北道(ハムギョンブクト)の会寧(フェリョン)で、地元出身で金正日氏の実母である金正淑(キム・ジョンスク)氏の銅像の裏側に時限爆弾が設置される事件が起きたという。
このような過去の事例を考えると、今回の特別警戒は、何らかの重大事件が、どこか別の地域で起こった可能性を示唆している。