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佐々木勇気七段(27)順位戦連勝は16でストップ 藤井聡太竜王(19)浮上しA級昇級争いトップ

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 12月2日。東京・将棋会館において第80期B級1組順位戦9回戦▲佐々木勇気七段(27歳)-△屋敷伸之九段(49歳)戦がおこなわれました。

 佐々木七段はここまで無敗。A級昇級争いでトップに立っていました。佐々木七段は初手、飛車先の歩を突く前に6分の時間を使っています。本局にかける気持ちが表れたものでしょう。

 後手番の屋敷九段は角筋を止め、雁木の作戦。対して佐々木七段は右四間飛車から速攻に出ました。

 両者強気の応酬で、局面は一気に終盤に入ります。そこで屋敷九段が競り勝ち、優位に立ちました。

 屋敷九段はいったん自玉周りの攻めをしのぎ、一手の余裕を得たあと、70手目、佐々木陣に飛車を打ち込んで王手をかけます。

 佐々木七段は5分考えて次の手を指さず、投了。23時33分、屋敷九段の勝ちとなりました。

 両者の対戦成績はこれで屋敷九段5連勝となりました。

「鬼のすみか」と呼ばれるB級1組。元A級の屋敷九段が底力を見せた格好となりました。

 前期B級2組から続いていた佐々木七段の順位戦連勝記録は16でストップしました。

 B級1組12戦全勝は過去に丸山忠久現九段、渡辺明現名人の2人しかいません。それだけ難易度が高いということでしょう。

 A級昇級争いは佐々木七段は2番手に後退。代わって藤井聡太竜王がトップに浮上しました。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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