甲子園でサヨナラ勝ち!ペレスに第1号も出ました《7/5 阪神ファーム》
きのう5日の甲子園球場は時おり小雨が降る程度で、ウエスタン・リーグの阪神-中日戦は問題なく行われました。ただし前日の午後からナイターを中止にさせるほど降った雨は朝方まで続き、グラウンドもかなり水分を含んでいたようです。でもそこは阪神園芸さん。といっても朝早くから土を入れたり整備したりと大変だったのではないでしょうか。ありがとうございました!
無事に始まったものの、先発の岩崎投手が5回に中日・松井雅選手の頭部に死球を当ててしまって退場という事態が起き、松井雅選手も球場敷地内まで来た救急車で搬送されて…両軍ベンチも、スタンドも静まり返った10数分がありました。まともに当たったため衝撃音がすごくて本当に心配したのですが、松井雅選手の頭部に問題はなく、打撲とムチ打ちの症状だそうです。ひとまずホッとしながらもムチ打ちは心配なので、よかったとは言えませんね。軽傷であり、一日も早く回復することを祈ります。
試合はホームランなどで2点先制された阪神が、7回にペレスの初ホームランで1点差。9回に中谷選手のタイムリー二塁打で追いついて、陽川選手のタイムリーでサヨナラ勝ちしています。阪神は今季4度目のサヨナラ勝ち(中日とソフトバンクに2度ずつ)、これで中日戦は6連勝となりました。では結果と成績、試合経過です。
《ウエスタン公式戦》7月5日
阪神-中日 19回戦 (甲子園)
中日 000 010 100 = 2
阪神 000 000 102x = 3
◆バッテリー
【阪神】岩崎-二神-玉置-鶴-○石崎(3勝2敗) / 小豆畑-清水(9回表)
【中日】西川(7回)-祖父江(1回)-●朝倉(3勝4敗)(1/3回) / 松井雅-加藤(5回~)
◆本塁打 三ツ俣2号ソロ(岩崎)、ペレス1号ソロ(西川)
◆二塁打 横田、中谷
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策) 打率
1]二遊:森越 (4-2-0 / 0-0 / 0 / 0) .350
2]遊二:北條 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .262
3]中:江越 (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0) .300
4]左一:ペレス (4-3-1 / 0-0 / 0 / 0) .435
〃走:伊藤隼 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .255
5]一左:中谷 (4-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .288
6]指:緒方 (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0) .221
7]三:陽川 (4-1-1 / 2-0 / 0 / 0) .267
8]右:横田 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .207
9]捕:小豆畑 (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .203
〃打:柴田 (0-0-0 / 0-1 / 0 / 0) .351
〃捕:清水 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .241
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
岩崎 4.0回 63球 (2-1-3 / 1-1 / 3.64) 141
二神 2回 33球 (2-5-0 / 0-0 / 2.25) 146
玉置 1回 19球 (1-2-1 / 1-1 / 4.74) 141
鶴 1回 19球 (0-1-0 / 0-0 / 2.81) 144
石崎 1回 13球 (0-2-0 / 0-0 / 3.62) 152
経過1 思わぬアクシデント
先発の岩崎は1回に自身の送球エラー、2回はヒットと四球で走者を出しますが無失点。3回は三者凡退、4回も先頭への死球のみで得点を与えません。ところが5回、先頭の三ツ俣にレフトスタンドへ放り込まれ、先に失点しました。続く松井雅への3球目が手を離れた瞬間に、着地した右足が傾き大きく体制を崩します。そしてボールは松井雅の頭を直撃!ものすごい音とともにヘルメットが飛び、松井雅はそのまま倒れ込みました。一回転した体を元に戻し、振り向いた岩崎はとても驚いた様子です。
球速は127キロと表示されていたのですが、真っすぐだったような気はしますね。仰向けになった松井雅が痛みのせいでしょうか、顔を横に動かそうとするのを中日のトレーナーが、しゃがんだ両ももの間でがっちりと挟みながら話しかけます。返事をしたり手を動かしたりするのは見えたので少し安心しました。アルプススタンド横の通路の扉が両方とも開けられて急車を迎える段取り。その間に審判から「危険球とみなし岩崎投手を退場とします」と説明があり、ピッチャー二神、松井雅の代走に加藤というアナウンス。
やがて救急車のサイレンが近くで鳴りやんで、三塁側の通路から救急隊員の方が1人だけ中へ入ってきて確認後、ストレッチャーが運ばれてきました。おそらく車をグラウンドに入れなくてもいい状況なんだなと、ホッとした方も多かったでしょうね。球場に常設の頭部を固定できる担架に乗せ、それごとストレッチャーに積んで移動すると、スタンドからは名前のコールと手拍子が。本人は顔をしかめて目を閉じ、腕は胸のところにおいて痛みに耐えている感じでした。
公式記録での中断時間は6分。これは審判がゲームを止めたところからの時間でしょう。死球からプレー再開まではちょうど15分です。とはいえ球場にいたすべての人が、もっともっと長く感じたと思います。
経過2 終盤に反撃してサヨナラ!
さて、無死一塁で引き継いだ二神。橋爪の空振り三振(バント失敗)のあと井領に右前打され一、三塁としますが、堂上と古本から連続で見逃し三振を奪って追加点を与えず!6回も1安打のみ、2奪三振で無失点。7回は玉置が登板して1死から藤澤に四球と盗塁を許し、1死後に堂上の中前タイムリーを浴びます。古本はチェンジアップで空振り三振に仕留めたものの2点目を失いました。
打線は1回、先頭・森越の左前打、2回は緒方の四球があったもののチャンスを作れず。3回は先頭の横田が左中間へ素晴らしい打球を飛ばし、俊足を飛ばして三塁を狙いますが…8-6-5と渡って三塁でタッチアウト。4回はペレスの中前打だけ、5回は三者凡退、6回も1死から森越が中前打するも北條は遊ゴロ併殺打。しかし2対0とリードされた直後、円陣を組んで迎えた7回裏にペレスがレフトへ第1号ソロ!1点を返します。
8回表は鶴が、4番からの3人(松井佑、福田、野本)を三者凡退に斬って取り、その裏の打線も中日2人目の祖父江から2死後に代打・柴田が四球を選びましたが無得点。9回は石崎が登板して、三ツ俣を捕邪飛、加藤は148キロで見逃し三振、最後は藤澤を150キロで空振り三振!
2対1と1点リードされて迎えた9回裏、朝倉から北條がまずサード藤澤の捕球エラーで出て、江越は空振り三振に倒れますが、ペレスの右前打で1死一、三塁。ペレスの代走に伊藤隼が出ます。続く中谷は中前へのタイムリー二塁打(ショートが弾いてセンターへ)。これでついに同点!次の緒方は敬遠されて1死満塁となり、打席には陽川。初球をフルスイングして、次のボールを見て、そしてカウント1-1からの3球目を右前打!三塁から伊藤隼が生還してサヨナラ勝ちです。
「申し訳ない」と岩崎
最初からあまりしっくり来ていなかったのか、マウンドの着地部分を足で何度もならしたり、投げて体がちょっと揺らいだりという場面があった岩崎投手。あのデッドボールもバランスを崩した感じでしたね。「それはそうですけど、やってしまったことはやってしまったことなので…相手に申し訳ない」と目を伏せます。本来は横山投手についで中継ぎ登板予定だったのですが、横山投手の体調不良で急きょ先発に。それは当日朝に言われた?「はい。でもそれは別に」
4回までよかったですね。「状態は悪くなかったし、内容もだんだんよくなっているんですけど」。最後は否定形で終わってしまいましたが、1軍で先発のチャンスもある左腕です。松井雅選手の早期回復とともに、岩崎投手が気持ちを切り替えられるよう祈っています。
緊急登板となった二神投手は「中継ぎをやっているといろいろあるので」と、そんなに慌ててはいなかったようです。投球内容も見事でしたね。最速は146キロで、でも「6回の福田さんの三振(141キロ)の方が、もっと出ている感じがしました」と本人は言います。スピードガン表示では138キロと135キロだった5回の連続三振も「真っすぐですよ」とのこと。
“石”直球、152キロが出た!
石崎投手は、先頭・三ツ俣選手を146キロ、142キロと真っすぐ2球で追い込んだあとの3球目(ボール)で152キロをマーク!最後の藤澤投手を空振り三振に仕留めた球は150キロでした。152キロについては「引っかけたボールだったんですけど」と苦笑い。たまたま、と言いながらも150キロ超えが出そうな気はしていたみたいですよ。っていうか…球速は見ていたんですか?あ、甲子園はバックネット裏にも数字が出ますね。「はい。チラ見程度に。顔を動かしたらバレるから、眼だけをこうやって(笑)」
ここ最近スピードが上がってきて、ついに社会人時代の最速である151キロを超えた石崎投手。「状態はいいので。久保コーチから、全力で振れるときは振れと言われていたし、カウント有利で余裕のある時に150キロを狙って投げたりはします。狙って力むと出ないことが多いですけど、きょうは気持ちと体がうまく一致しました。これからコンディショニングやメンタル面もキープできればいいですね」と話しています。
ただし「常時145キロ以上出ていて感覚はいいですが、すぐ崩れないように、継続できるようにしないと。投げていくとフォームがバラバラになるので、そこを課題にして謙虚にやっていきたいです」とのことでした。
「僕が決めようと思っていた」
次に、試合を決めた陽川選手。「満塁だったから犠牲フライでもと思ったんですが、前進守備やったんで、とりあえずバットに当てればと。よかったです。前の3打席は全然ダメ(遊飛、見逃し三振、空振り三振)で、前で緒方さんが敬遠されて僕との勝負だなと思いました」。自分の前が敬遠されて、なんでやねん!ってカチンとこなかったかというような質問に、笑いながら「だいたい僕でくるかな~とは感じたので、決めようと思っていた」と答えています。
最初のフルスイング、満塁ホームランを狙っていた?「初球だけそう思っていたけど、ああいう空振りしたんで(笑)。切り替えました」。やっぱり。ところでサヨナラヒットは初めてかと聞かれ「去年、鳴尾浜であります。甲子園では初めてですね」と陽川選手。そうそう、昨年8月1日のオリックス戦(鳴尾浜)ですね。延長10回に武田選手のソロホームランで勝ち越され、その裏に北條選手と荒木選手の連打、狩野選手の中飛で1死一、三塁として陽川選手が左翼線に二塁打を放ち2人が還ってサヨナラ勝ち。延長が10回制になった1999年以降では最長の4時間48分というゲームでした。
あの時、試合後に「北條が先頭で出たので回ってくると。何かしら仕掛けようと思っていた」とコメントした陽川選手。そこへ通りかかった北條選手が「持っていかれた~!」と笑っていたのを思い出します。先頭でいい当たりの左前打を放ったんですもんね。今回は相手エラーでの出塁でしたが、中谷選手の二塁打で生還した北條選手。ベンチでみんなとハイタッチして、いい笑顔で写真に写っています。
ペレスにも出た!第1号
初ホームランが出たペレス選手は「ボールがよく見えているし感覚もいい」とコメント。甲子園で出た、という点は「どんな球場でも同じ」だそうです。1打席目もフェンスに届くような右飛で、惜しい当たりでしたが「そんなに手応えはなかった」とか。これからも、いいボールを打っていきたいと話しています。あ、ホームランボールってどうしたんでしょう。聞き忘れたけど…要りませんかね。
ところで鳴尾浜の虎風荘での生活については「快適だし、静かに暮らしている」という答えで、ちょっと笑ってしまいました。定年退職したお父さんみたいで。また好きな日本食は「エブリシング」、特に好きなのは「ライス&チキンとサラダ」。西田選手のグラブとか、他の選手からもいろいろもらったみたいで、それらは「部屋に飾っている」とのこと。そういう話をしている時はクルクルと表情が変わるペレス選手です。
掛布DCは「バットをレベルで振れている。しっかりボールを見られているから、ボールの下にバットが出ている。課題はインコースの対応。見極められるかどうかだね。打席の中でも静かだし、軸もぶれていない。体は大きいけど、目の上下運動が少ないから安定しているんじゃないか。打球の質もいい。全部、前にいってるしね。疲れが出てきた時はどういうバッティングをするか、それをこれから試される。チャンスという意識もあるだろう。日本の若者よりシビアな野球を求められている。1打席の重さが違う。見ている人にも刺激になるでしょう。淡泊な打席がないよね」とペレス選手を分析し、今後に期待も込めた言葉でした。