「鈴木誠也を逃した球団」と「エースが故障した球団」は、トレードで互いに穴を埋める!?
サンディエゴ・パドレスは、鈴木誠也を手に入れようとしていた。シカゴ・カブスと契約を交わす前に、鈴木がパドレスの本拠地を訪れたことからも、そのことは明らかだ。
今のところ、鈴木に代わる「プランB」の外野手は加わっていない。センターとライトには、それぞれ、トレント・グリシャムとウィル・マイヤーズがいるものの、レフトは未定だ。現時点の候補は、ジャリクソン・プロファー、トレードで獲得したホーヘイ・アルファロとマット・ベイティ、マイナーリーグ契約のノマー・マザーラとトレイス・トンプソン、といったところ。いずれも、レギュラーには物足りない。
前半戦はフェルナンド・タティースJr.を欠くことも、外野手を入手する必要性を増している。ちなみに、タティースJr.の定位置である遊撃には、ハソン・キムが入る見込みだ。こちらは、昨オフにポスティング・システムを利用し、韓国のキウム・ヒーローズからパドレスに入団した。
一方、ニューヨーク・メッツでは、エースのジェイコブ・デグロームが右の肩甲骨を痛めた。シーズン初登板は、6月以降になるだろう。ローテーションには、新加入のマックス・シャーザーとクリス・バシットに、カルロス・カラスコとタイワン・ウォーカーが並ぶ予定だが、あと1枠が未定だ。
ジ・アスレティックのデニス・リンやニューヨーク・ポストのジョエル・シャーマンらによると、パドレスとメッツは、トレードについて話し合っているという。彼らが報じているのは、パドレス→メッツが、クリス・パダック(先発投手)、エリック・ホズマー(一塁手)、エミリオ・パガーン(リリーフ投手)の3人と2500万ドル、メッツ→パドレスは、ドミニク・スミス(外野手/一塁手)というトレードだ。
スミスは、2013年のドラフト全体11位。6月半ばに27歳となる。昨シーズンは不振ながら、2019~20年は計139試合に出場し、打率.299と出塁率.366、21本塁打と31二塁打、OPS.937を記録している。
パダックは、2015年のドラフト8巡目・全体236位。年齢は26歳だ。2016年6月に、フェルナンド・ロドニーと交換にマイアミ・マーリンズからパドレスへ移った。過去2シーズンの防御率は4.70以上だが、メジャーリーグ1年目の2019年は、26先発で140.2イニングを投げ、防御率3.33を記録した。3シーズンとも、K/BBは4.50以上と優秀だ。
パドレスがホズマーも手放そうとしているのは、費用削減が狙いだろう。ホズマーの契約は、今シーズンが8年1億4400万ドルの5年目。残る年数と金額は、4年5900万ドルだ。パドレスは、そのうちの2500万ドルを負担しても、3400万ドルの支出を減らすことができる。さらに、パガーンも放出するのは、メッツの合意を得るためだと思われる。
このトレードが成立するかどうかは、まだわからない。USAトゥディのボブ・ナイテンゲールによると、パドレスは、ピッツバーグ・パイレーツのブライアン・レイノルズを欲しがっているという。また、FA市場には、マイケル・コンフォートやブレット・ガードナーが残っている。メッツも、ジョニー・クエイトやJ.A.ハップら、FAの先発投手を手に入れるかもしれない。
ただ、パドレスがレイノルズを獲得するには、莫大な見返り、少なくとも2人以上の有望な若手を差し出す必要がある。また、コンフォートと契約を交わした場合、パドレスの年俸総額は「贅沢税」の課税対象になりそうだ。ガードナーであれば、コンフォートよりも安く済むが、パワーの点でパドレスのニーズに合わない。しかも、年齢は38歳だ。
メッツは、デグロームを含む先発投手5人中、シャーザー以外の4人が、今シーズン終了後にFAとなる可能性がある。来シーズン以降のことを考えると、FAのベテランを1年契約で迎えるよりも、今シーズンを含め、あと3シーズン保有できるパダックを手に入れるほうが理に適っている。
【追記:4/3】ロサンゼルス・エンジェルスは、ジャスティン・アップトンを40人ロースターから外した。ウェーバーの公示期間が終わり次第、解雇となるはずだ。パドレスは、アップトンを迎え入れてもおかしくない。