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井上尚弥 VS難敵 ロドリゲス ベルトや肩書きより最強を懸けて戦う一戦

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
(写真:ロイター/アフロ)

WBA世界バンタム級王者の井上尚弥(26)が、ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(WBSS)準決勝で、IBF王者エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)と対戦する。

試合はスコットランド・グラスゴーで、18日(日本時間19日)に行われる。試合前日に、計量が行われ、両者とも53.4キロで一発パスした。

試合までのリカバリーが重要

計量は、日本での試合の場合、昼頃に行われる。だが、今回イギリスでの計量は、現地時間の17時にスタートとなった。

計量後のリカバリーは非常に重要だ。ボクサーは翌日の試合に向けて、水分や食事を補給してリカバリーをする。

時間が遅ければその分、期間が短くなり体の回復も遅れる。回復を少しでも早めるため、井上は、メディアの取材は受けず、会場をあとにした。

また、IBFは団体の規定により、当日計量(午前8時)が行われ、10ポンド(約4.5キロ)以内に抑える必要がある。

なので、当日計量を見越して、食事を取る必要性が出てくる。

計量が終わっても、翌日の朝まで、体重をコントロールしなければならない。これは選手にとっては大きなストレスとなる。

ボクサーは水分量を減らして体重をコントロールしている。そのため、計量後に水分を補給するだけで、2キロはゆうに増える。

また、計量直後は、胃が食物に慣れていないため、消化の良いフルーツや、エネルギー源となるオニギリなどを食べる選手が多い。

エネルギー源となる糖質を、体にどれくらい溜め込むかで、スタミナにも影響する。

試合に向けて、何をどれくらい食べるかは、非常に重要だ。それが、翌日の試合のパフォーマンスに直結する。

そのため少しでも、自分のコンディションを戻すために選手は慎重になる。

ボクサーと減量

ボクシングは細かく階級に分かれている。最軽量級のミニマム級(47.62キロ)から、無差別級のヘビー級(90.71キロ以上)まで、17の階級がある。

軽量級だと、一つの階級差は1.5キロ前後で非常に細かい。

階級によって、相手の体格やパワーが変わってくるため、戦い方も大きく変わってくる。

井上は、ライトフライ級( 48.9キロ)、スーパーフライ級(52.1 キロ)バンタム級( 53.5キロ)で、3階級を制覇してきた。

フライ級は飛び級したため、実質は4階級上げてここまできた。

調整や計量での様子を見ると、まだまだ体も成長し、減量も決して楽ではない様子だ。この先も、階級を上げていく可能性が高いだろう。

自分の体の成長に合わせ、ウエイトを変えていくことがベストだが、なかなか簡単な事ではない。

この階級で実力を証明したタイミングで、階級を上げていくのではないだろうか。

最強を懸けて戦う一戦

今回の一戦は団体の規定により、王座統一戦ではなく、IBF王座のみがかけられるタイトルマッチに正式に決定した。

IBFは原則、他団体の一番上の王者との対戦に限り、統一戦開催を認めている。

WBAは王座が乱立し、スーパー王者、正規王者の2名のチャンピオンがいるケースがある。

その場合は、スーパー王者が対象となる。

(現在のバンタム級のスーパー王者は決勝の舞台に上がったノニト・ドネア)

そのため、井上がIBF王座に挑むという事になり、勝てばWBAの王座を2度目の防衛、さらにIBFとの2冠王者となる。

敗れた場合は、WBAの王座は空位となる。実質の統一戦では無くなったが、本人にあまり影響は無いだろう。

井上自身も、「過去の対戦したボクサーの中で一番(強い)」と、ロドリゲスを警戒している。この試合が事実上の決勝戦との見方もある。

強すぎて相手がいないと言われた井上が、同世代のボクサーと拳を交える。

これまで苦戦を強いられたことがない井上が、難敵ロドリゲスに対してどのように戦うかに注目だ。

本人自身が、強敵との相手を求めて、このトーナメントに参戦した。

王座が乱立し、ベルトや肩書きよりも、誰に勝ったのかが、重要な時代になってきている。ファンが知りたいのも、誰が一番強いかだ。

ベルトより最強を賭けて戦う、その姿勢が評価に繋がっていく。

ボクサーは試合を通して強くなっていく。自分とのプレッシャーに打ち勝ち、強い相手に勝った経験が、自信になり成長させてくれる。

今回の大舞台で自分の力を発揮して、更なるステージに上がっていくことを期待したい。

最強を決めるトーナメントで、モンスター井上尚弥の実力を証明して世界に届けてほしい。

【放送予定】

WOWOWエキサイトマッチで5月19日(日)

4時半からライブ配信

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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