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那須川天心が地域タイトルを獲得 ライバル武居由樹との対戦の可能性は

木村悠元ボクシング世界チャンピオン
著者撮影

那須川天心(帝拳)が、デビューから僅か5戦目で地域タイトルを獲得した。対戦相手のジェルウィン・アシロ(フィリピン)は反応が非常に良く、お互いパンチを当てるのに苦労したが、天心はしっかりポイントを取って勝利した。

試合全体では天心が主導権を握るラウンドが多く、第9ラウンドではダウンを奪ったが、KOには至らなかった。デビュー当初と比べて、天心の足まわりはかなり細くなっており、キック中心のスタイルから長丁場で戦うボクサーとして進化しているように感じた。

天心の反射神経とカウンターのスキルは抜群だが、今後さらに上を目指すためには接近戦での戦い方も重要になってくる。今回のように足を使う相手には、最終ラウンドのようにリスクを覚悟で前に出て、距離を詰めて打ち合う展開も必要だろう。この試合で天心は、10ラウンドを戦い抜くスタミナと技術を証明し、まだまだ成長の余地があり強くなっていくだろう。

試合後、天心は「来年中に世界タイトルマッチに挑戦したい」と語り、バンタム級の世界王座に注目が集まっている。現在のバンタム級王者には以下の王者が君臨している。

WBA  堤聖也(角海老宝石)

WBC 中谷潤人(M.T)

WBO 武居由樹(大橋)

IBF 西田凌佑(六島)

試合後、天心は観戦に来ていたWBO王者の武居に「勝ちましたよ、武居くん」と呼びかけた。今回、天心が獲得したベルトはWBO系列の地域タイトルであり、武居との対戦の可能性が最も高い。陣営は2月と6月に試合を計画し、来年の秋頃を目標に初の世界挑戦を視野に入れている。

キックボクシング出身で年齢も近い武居との対戦が決まれば、大きな盛り上がりを見せるだろう。対戦実現には、両者が負けずに勝ち進むことが前提となるが、パワーの武居か、スピードの天心か、非常に興味深い一戦になりそうだ。

1年後の世界戦で誰と戦うのか、どんなドラマが待っているのか、今後が楽しみだ。

元ボクシング世界チャンピオン

第35代WBC世界ライトフライ級チャンピオン(商社マンボクサー) 商社に勤めながらの二刀流で世界チャンピオンになった異色のボクサー。NHKにて3度特集が組まれ商社マンボクサーとして注目を集める。2016年に現役引退を表明。引退後に株式会社ReStartを設立。解説やコラム執筆、講演活動や社員研修、ダイエット事業、コメンテーターなど自身の経験を活かし多方面で活動中。2019年から新しいジムのコンセプト【オンラインジム】をオープン!ボクシング好きの方は公式サイトより

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