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なぜバルサは“復調”したのか?ヤマル、クバルシ…カンテラーノの台頭とレヴァンドフスキの決定力。

森田泰史スポーツライター
得点を喜ぶバルサの選手たち(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

決戦を前に、気を引き締めているのかも知れない。

バルセロナが、調子を取り戻してきている。リーガエスパニョーラ第30節終了時点で、首位レアル・マドリーに次いで、2位に浮上。チャンピオンズリーグでは、準々決勝でパリ・サンジェルマンと対戦する。

■シャビの退任宣言

バルセロナはシャビ・エルナンデス監督が今季限りで退任する。1月27日、ビジャレアルに敗れた後、指揮官は公式会見で“退任宣言”を行った。

選手に指示を送るシャビ監督
選手に指示を送るシャビ監督写真:ムツ・カワモリ/アフロ

以降、バルセロナは復調している。

今季開幕前の段階で、シャビ監督はバルセロナで90試合指揮を執っていた。その期間の勝率は61%だった。

一方、シャビ監督の退任宣言があってから、バルセロナは11試合を行い、無敗を維持している。その間、勝率は72%を誇っている。

■エース復調と守護神の復帰

V字回復、とまで言えるかは分からない。だがバルセロナのパフォーマンスが上向いているのは確かだ。その要因に、2人の選手を挙げられる。

ボールをコントロールするレヴァンドフスキ
ボールをコントロールするレヴァンドフスキ写真:ロイター/アフロ

ロベルト・レヴァンドフスキは今季、決定力不足が指摘されてきた。ここまで、公式戦40試合で20得点をマーク。1試合平均得点数は0.5得点となっている。

バイエルン・ミュンヘン時代、375試合で344得点を記録している選手だ。また、バルセロナが移籍金4500万ユーロ(約72億円)を支払っている選手でもある。元々、期待値は高い。

そのレヴァンドフスキは2月以降、7ゴールを挙げている。レヴァンドフスキ自身が「チームはこの数週間、トレーニングの仕方を変えている。より高いインテンシティで練習に臨めている。僕は快適にプレーできている。チームメートも同じだ。一歩、前進しなければいけない」と語っており、自信を回復させている。

ゴールマウスを守るテア・シュテーゲン
ゴールマウスを守るテア・シュテーゲン写真:なかしまだいすけ/アフロ

テア・シュテーゲンは今季、負傷に悩まされていた。リーガ第24節のグラナダ戦で復帰すると、その試合こそ3ゴールを献上して大量失点を喫したものの、そこから6試合連続無敗に貢献。復帰後、5試合でクリーンシート(リーガ)を達成している。

バルセロナは昨季、リーガで優勝を果たしている。38試合で70得点20失点(得失点差50)という数字だったが、失点数の少なさはリーガでトップだった。テア・シュテーゲンの存在は大きかったのだ。

■躍動するカンテラーノ

また今季のバルセロナはカンテラーノが台頭している。

「ベイビー・バルサの爆発」と形容したのはスペイン『アス』紙である。だが、その評に相応しく、今季のバルセロナは若い選手が活躍している。ラミン・ヤマル、パウ・クバルシ、フェルミン・ロペス、マルク・ギウ、エクトル・フォント…。シャビ監督の信頼を得て、彼らはトップチームでプレータイムを伸ばしている。

3月のインターナショナルウィークでは、クバルシがスペインA代表デビューを果たした。17歳2ヶ月でのデビューは、セルヒオ・ラモスを抜いて、DFの選手として最年少デビューになった。

育成に定評があるバルセロナ
育成に定評があるバルセロナ写真:なかしまだいすけ/アフロ

なお、先のスペインの招集リストでは、世代別代表を含め、バルセロナのカンテラーノが最も名を多く連ねている。改めて、ラ・マシア(バルセロナの育成寮)の存在感を示した格好だ。

バルセロナでは今夏、フロント内で人事異動が行われた。マテウ・アレマニー氏が去り、デコSD(スポーツディレクター)が就任した。デコSDは、ボージャン・クルキッチ氏を入閣させて、カンテラーノのチェックを強化した。その効果が、現れ始めている。

チャンピオンズリーグでベスト8に進出したバルセロナ
チャンピオンズリーグでベスト8に進出したバルセロナ写真:なかしまだいすけ/アフロ

「これだけ若い選手がいて、このチームが成し遂げたことというのは、非常に大きい」とはチャンピオンズリーグでベスト8進出を決めた直後のシャビ監督の弁だ。

「人々は私を信じていなかった。ロッカールームの、選手たちの関係性が壊れると心配していた。不当な形で、我々は批判を受けてきた。しかし、我々にはヨーロッパで戦う準備ができている。それが証明できたと思う」

バルセロナは正しい方向に向かっている。

だがシーズン終盤、パリ・サンジェルマン戦、エル・クラシコとビッグマッチが控えている。ベイビー・バルサ、シャビ・バルサへの評価が下されるのは、その先だ。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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