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早明戦へ。早稲田大学・加藤広人キャプテンは「動揺や緊張をしては意味ない」【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
写真は1年時。現在はより堂々たる体躯。(写真:アフロスポーツ)

 関東大学ラグビー対抗戦Aの最終戦、伝統の「早明戦」こと早稲田大学と明治大学の一戦が、12月3日、東京・秩父宮ラグビー場である。

 早稲田大学の加藤広人キャプテンが、11月29日、単独取材でここまでの道のりや大勝負への意気込みを明かした。

 以下、単独取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

――昨季、山下大悟監督が就任。チームはどう変化しましたか。

「特にフォワードの接点の部分、セットプレーで厳しさが加わりました。責任感、自覚が出てきた」

――今季のキャプテンとしての歩みを振り返ってください。

「僕でいいのかという不安なところともあり、(過去には)『こうしておけば』というところもあったのですが、もう時間はないのでやるしかない。しっかりと、やりきりたい」

――「こうしておけば」。後悔したことがあったのでしょうか。

「(問題点に)早めに気づいて厳しく言うこと。自分のことで精一杯になって、あまり周りが見えていなかったのかなと」

――裏を返せば、態度で周りを引っ張ろうとしてきた。それで得た収穫は。

「自分がやらないといけないという自覚(がついたこと)。いまも周りに迷惑をかけている。つきつめていきたい。チームとしては順調によくなってきていますが、この前の早慶戦もそうでしたがまだムラがある。練習時の声かけなども、突き詰めたいです」

――8年連続大学日本一の帝京大学とは、夏に練習試合をした時に0-82と大敗。しかし対抗戦では21―40と迫っています。早明戦後の大学選手権での再戦もあり得ますが…。

「(帝京大学は)1人ひとりが重くて強い。ただ、特にコンタクトのところで去年、一昨年よりは戦えるというか、お手上げという部分もない。夏の試合にあったポンポンと取られてしまう部分もなくなった。接点の激しさ、しつこさ、ハードワーク、アタックに夏から取り組んできて(変わった)。とはいえ、(秋も)ダブルスコアがついていた。ミスも多かったので、そこらへんは詰めていきたいです」

――11月23日の秩父宮での早慶戦(対抗戦の慶應義塾大学戦)は、後半24分に9-21と離されるも23―21と逆転勝利しました。

「前半はキックゲームになってお互い持ち味が出せず、後半は慶応さんがいい形で点を。そこから僕らは危機感を持って、攻めるしかないとやることを徹底できた。それ(本来の姿)を早い段階で出せるよう修正しないといけない」

――そして、早明戦へ。

「僕自身、この試合に憧れて早稲田大学に入ったという部分もある。特別な思いもある。ただ、やることはぶらさない。いままで積み上げてきたものをどれだけ出せるかの勝負になると思う。特別な舞台で動揺や緊張をしてしまって普段通りのプレーができなければ意味がないので、いままでやってきたことを全面に出したいです」

――「特別な舞台」で平常心。方法は。

「人それぞれあると思うんですけど、僕自身は(舞台の大きさを)意識しない、ということ。意識をしすぎるとそればかりが気になる。試合になれば周りが気にならなくなるので、(当日までの日々を)普段通りに過ごすのが大事だと思います」

――改めて、勝敗のポイントは。

「フォワードのセットプレー、近場でいかにファイトできるか。(防御では)1人目がしっかりと相手を倒し、2人目がブレイクダウン(接点)に圧力をかける。ターンオーバーをするか、相手の球出しを遅らせて、相手の好きなテンポでプレーをさせない」

――「セットプレー」で言えば、今日のスクラム練習では控えチーム10人に対して8人で組むなど相手の重さをイメージしていました。

「明治さんはひとりひとりが重くて強いので、それを想定して(10人を相手に)組んだ。当たり前ですけど…重いですね。まっすぐ来る相手に対し、こちらはしっかり固まって押したいと思います」

 過去3シーズンの早明戦は、昨季は早稲田大学、一昨季は明治大学、一昨々年のシーズンは早稲田大学がそれぞれ勝利している。自分に厳しい先導役は、ラストイヤーのクラシコで笑うことができるか。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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