飛ばないチケットを売る格安航空ノルウェージャン 夏の欠航便で、地元で厳しい報道が続く
夏の便のキャンセルが相次ぐノルウェー・エアシャトル、別名「ノルウェージャン」(Norwegian)に対して、ノルウェーの人々が冷たい視線を注いでいる。
この時期は長期の夏休みで旅行に出かける人が多い。28日には最終的に19もの欠航便が相次ぎ、4000~5000人に影響を及ぼしたとされる。昨年の夏も1日で最低18便が欠航し、6月だけで全体の30%の便がキャンセルなどされた。
ノルウェージャンは今年のトラブルの原因をボーイング「737MAX」の納入延期と、病欠となったパイロットの代わりがみつからないためと説明している。
パイロット不足という理由は昨年も起きたため、システムが改善されていないノルウェージャンに対する地元の人々の憤りは大きい。パイロット不足だという現状を把握していながら問題が放置され、チケットが昨年販売されていたことを、ニュースを見ていた国民は知っている。
今年も乗客から苦情が殺到している理由は、なによりもキャンセル判明後のカスタマーサービスの悪さだ。空港に放置されている子どもたちの姿は大きく写真で報道されている。
ノルウェーパイロット連盟に対して、ノルウェージャンは「通常の4倍の給料」を提示したが、連盟は協力を拒否。27日は、ノルウェージャンがパイロットたちに直接交渉をして、人員不足が確保されつつあることを産業紙DNが報道した。一方で、労働連盟を通さなかったことに、連盟側は労働協約が破られたと指摘している。
ノルウェーで最大手の新聞社アフテンポステンの政治編集長エイレルトセン氏は、27日の私説にこう記した。「長距離の移動を格安料金で可能にし、スカンジナビア航空の独占市場に競争をもたらしたことは評価する」、しかし、昨年に続き、繰り返される今年の夏のカオスはあまりにもひどいと。「乗客はお金を支払ったものを求めているだけだ。存在しない便のチケットを売ることは、乗客をだましていることと同じ。今回被害にあった人々はこのことを忘れないだろう。これは信頼の裏切りだ。あなたたちが提供するのは夢の地へのチケットではない。叶わないただの夢だ」。
ダーグブラーデ紙なども「夢の便ではなく、最低の便」という記事などが掲載されている。現地メディアは国民の夏休みを台無しにしているノルウェージャンに対して批判報道をやめる気配がない。
ノルウェージャンのFacebookでは格安チケットの宣伝が多く掲載されているが、「本当に、飛ぶのならね」と苦情が殺到している。
「飛ばないかもしれないチケットを売る格安航空会社」の代名詞はこれからも保持されそうだ。
Text:Asaki Abumi