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日本代表、格上フィジー代表に勝ってどう思った?【ラグビー旬な一問一答】

向風見也ラグビーライター
2016年秋就任のジョセフ。写真は2019年春(写真:FAR EAST PRESS/アフロ)

 ワールドカップの日本大会開幕を9月20日に控えるラグビー日本代表は7月27日、岩手・釜石鵜住居復興スタジアムで、世界ランクが2つ上のフィジー代表に34―21で勝利。同カード約8年ぶりの白星を挙げ、通算対戦成績を4勝14敗とした。

 環太平洋諸国などとぶつかるパシフィック・ネーションズカップの初戦で、日本代表にとっては今年初のテストマッチ。ボールを果敢に動かした。試合後はジェイミー・ジョセフヘッドコーチとピーター・ラブスカフニゲームキャプテンが会見。談話は同時通訳がなされた。

 以下、共同取材時の一問一答の一部(編集箇所あり)。

ジョセフ

「釜石の人たちは大変な苦労をしてこのスタジアムを建ててくれました。よい試合をしたかった。

 我々は長い間トレーニングをしてきました。ほとんどの選手が宮崎でキャンプをし、体調も良かった。インテンシティが良かった。少しミスもありましたが、前半はフィジー代表にかなり圧力をかけられました。ポゼッションもよかった。かなり早い段階でピーター・ラブスカフニを怪我で欠きましたが、その後、本来の主将のリーチ マイケルが出てきてよかった。ボールをしっかりと動かせた。ワールドカップに向けてよいテストとなった。フィジー代表はこの前に2つの試合をしてきていて、日本に来たばかりで、その日本はとても暑かった。そこは考えなければいけないですが」

ラピース

「きょうのパフォーマンスには満足しています。前半は何度も圧力をかけられました。後半は汗でボールが滑りやすくもあってミステイクも起きましたが、このような結果が出て嬉しい」

――ディフェンスはどうだったか。

ジョセフ

「前半は非常にポゼッションが約70パーセント。それでフィジー代表がいらいらしました。我々はアンストラクチャーラグビー(セットプレーを介さない攻防)を作ろうとしたが、それを望む通りにできた。この状況で考えるのは、いくつタックルがあり、どれくらい成功し、どれくらいミスしたかです。防御ではあるエリアで、スペースを生んでしまったところもあります。ただ意思決定の際にちゃんと意思決定を下し、最終的にフィジー代表に多くの圧力を与えられました」

――フィジー代表のオフロードパスは乱れた。これも圧力の賜物か。

ジョセフ

「そうだと思います。そのために練習してきたんですから、成果があったということ。相手のオフロードパスをブロックする動きがうまいくいった。それで今日、結果が出たのはハッピーです。まだまだやることはありますが、良かったと思います」

――合宿前後でどんな成長があったか。

ジョセフ

「皆さんの目の前で見せられたと思うが、ほとんどの間は私たちがブレイクダウンでクリーンアウトをするなど、ちゃんとしたプレーができていた。宮崎の合宿で多くの改善ができたと思います」

――チームのフィットネスの高まりについて。

ジョセフ

「いまはそこでアドバンテージがありますが、先は長い。タックルに関してもまだまだこれからやるべきことはたくさんある」

――「アンストラクチャー」の形成を目指すとしていたなか、ボール保持率が高かった。

ジョセフ

「前半はキックをしたくなかった。フィジー代表は世界でもっともアンストラクチャーが強い。相手にチャンスをあげるようなことはしたくなかった。戦術は、うまくいくチャンスを見極め、その時が来た瞬間に使うもの。必要な時にやる。後半は相手が疲れてきたので、思い通りにできなかったのでは」

――選手のメンタルについて。

ラブスカフニ

「メンタルはすごくよかった。ギアを入れ、準備万端でした。むしろ、冷静さを保つのが難しかったです。ピッチ上では違和感がなく、何をすべきかわかっていた。プラン通りに進められ、プレッシャーを多くかけられた」

――スクラムはどう見ましたか。最近のルール変更により双方の間合いが広がっていました。

ジョセフ

「とてもよく対応できた。ルール変更は2週前に伝えられたため準備に限りはあったが、良く対応できた。変更があれば、それが正しい変更であろうとなかろうと、受け入れ対応するしかない」

――スクラムハーフで先発の茂野海人選手について。

ジョセフ

「とてもいいプレーをした1人です。判断、ラン、キックともよかった。途中でちょっと疲れが出たが、途中から流大が出た」

――前半レフリーに色々と確認を取っているようでした。

ラブスカフニ

「理解の違いではなく、レフリーの何を見ていたかを理解するために話していました」

ジョセフ

「彼は英語でレフリーと話せるのがメリット。レフリーに正直に何かを言ってもらう。日本の場合、そこが足りないと感じていました」

――フルバックとして活躍してきた松島幸太朗選手がウイングでプレー。バックスリーの布陣について。

ジョセフ

「コーチの観点では色々な選手を比較して、厳しく選考しています。松島は山中亮平ら(他のフルバック)に比べるとネガティブな部分もあるが、ちゃんと仕事はできる。ちゃんと仕事をしてもらうのが大事。選手が力を発揮できるようになっている。宮崎合宿の成果は出つつある。きょうの松島は素晴らしかった。後半はまさに彼の試合だった」

 日本代表は8月3日、大阪・東大阪市花園ラグビー場でトンガ代表と対戦。本番に向け、成功体験を重ねながら課題を再確認したい。

ラグビーライター

1982年、富山県生まれ。成城大学文芸学部芸術学科卒。2006年に独立し、おもにラグビーのリポートやコラムを「ラグビーマガジン」「ラグビーリパブリック」「FRIDAY DIGITAL」などに寄稿。ラグビー技術本の構成やトークイベントの企画・司会もおこなう。著書に『ジャパンのために 日本ラグビー9人の肖像』(論創社)『サンウルブズの挑戦 スーパーラグビー――闘う狼たちの記録』(双葉社)。共著に『ラグビー・エクスプレス イングランド経由日本行き』(双葉社)など。

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