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ノート(116) マスコミに報じられていない特別公務員職権濫用罪に対する告発の行方

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

~整理編(26)

勾留97日目(続)

2通の処分告知書

 12月27日のこの日は月曜日であり、最高検から2通の書類が届いた。いずれも市民団体などから告発されていた刑事事件に対する不起訴処分告知書で、12月24日付けのものだった。

 検察官が起訴・不起訴をすると、告訴・告発人に速やかにその旨が通知される。一方、告訴・告発された被疑者については、起訴だと起訴状謄本の送達があるものの、不起訴だと検察官に請求しない限り何も告知されない。

 すなわち、この手続を知らなければ、いつ不起訴処分が下されたのか、被疑者としては知りようがないというシステムになっている。

 身柄を拘束された事件の場合、期限までに起訴されないまま釈放されるとおそらく不起訴になったのだろうと推測できるし、検察官が取調べの中で「不起訴の見込み」を伝える場合もあるが、だからといって釈放当日中に不起訴処分にするとは限らない。

 また、処分保留のまま釈放し、引き続き捜査を進めるというパターンもあり得る。ましてや、交通事故を代表とする在宅事件の場合、被疑者の知らないうちに事件記録が検察庁に送られ、同じく知らないうちに不起訴処分が行われていることも多い。

 こうした通知や告知は口頭でも可能だが、検察では書面を作成して送付している。ただし、検察官は、告訴・告発人であれば、その請求に基づいて不起訴の理由、すなわち起訴猶予なのか、嫌疑不十分なのか、嫌疑なしなのか、といったことを告げることになっているが、被疑者の場合、そうした義務まではないとされている。

 したがって、被疑者に送付される不起訴処分告知書には公訴を提起しない処分をしたことと、それがいつなのかまでは記載されているものの、その理由までは記載されていないのが通常だ。

 それでも、弁護人を介するなどしてあらかじめ書面で不起訴理由の開示まで求めておくと、検察官によっては、あくまで任意だという前提で、告知書に理由まで記載して送付するような場合もある。

 いずれにせよ、こうした不起訴処分告知書は、例えば勤務先に検挙されたことが知られており、懲戒処分の手続が進んでいるような場合に勤務先に対して提出し、手続をストップさせるといった使い方ができるし、無料で発行されるものなので、手に入れておいたほうがよいだろう。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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