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バッドボーイズ佐田さんが「不倫」を謝罪~不倫とは?なぜ不倫はいけないの?

竹内豊行政書士
バッドボーイズの佐田正樹さんが不倫を謝罪しました。なぜ不倫はいけないのでしょうか(写真:イメージマート)

お笑いコンビ・バッドボーイズの佐田正樹さんが5月1日、自身のYouTubeチャンネルで5月1日に『文春オンライン』で報じられた隠し子報道について次のように話しました。

「この動画は、文春さんの記事を受けて配信しております。記事の内容は私の不倫です」と切り出すと「記事にある通り、私にはお付き合いしている女性がいました。そして、その方との間に認知している子どもがいます」と明かした。続けて「既婚者でありながら、許される行為ではないということは重々承知しております。このことで、妻や妻の家族を大変深く傷つけてしまい、誠心誠意、謝罪させていただきました」と告白。「ですが、私が妻に与えた傷は、計り知れず、決して謝って許されるものではありません」と思いを語った。引用:隠し子報道のバッドボーイズ佐田が謝罪「尊い命を一生かけて守っていく義務がある」 妻に与えた傷「計り知れない」

このように、佐田さんは不倫を認め謝罪しています。そこで、今回は不倫とはどういうことなのか、不倫はなぜしてはいけないのか考えていたいと思います。

不倫とは

まず、そもそも不倫、すなわち、結婚をして配偶者(夫または妻)がある者が、配偶者以外の者と性的結合(セックス)をすることはなぜいけないのか考えてみましょう。

不倫を禁止する条文はない

実は、民法には、「不倫をしてはいけない」といった、不倫を直接禁止する条文は見当たりません。

しかし、次の3つの条文から、「夫婦は互いに貞操義務(配偶者がいる者が、配偶者以外の者と性的結合をしないという義務)を負う」という不倫禁止が導き出されます。

1.重婚の禁止(民法732条)

配偶者のある者は、重ねて結婚できません。

2.同居協力扶養義務(民法752条)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助し合わなければなりません。

3.不貞行為が離婚原因となる(民法770条1項1号)

不貞行為(配偶者以外の人と性的関係を持つこと)は、離婚原因となります。

民法には、「不倫禁止条項」は規定されていませんが、以上の3つの条文から、結婚したら夫婦双方に貞操義務が課せられることがおわかりいただけると思います。

不倫に待ち受ける3つの制裁

貞操義務に違反をすれば、当然、制裁が待ち受けています。その制裁は、法的制裁と社会的制裁の二つに大きく分けられます。

1.法的制裁

不倫をした者とその相手にそれぞれ次の制裁が待ち受けています。

不倫をした人

前述のように、不貞行為は、離婚原因となります(民法770条1項1号)。そうなってしまうと、大切な家族を失うことになります。離婚までいかなくても、家庭内では針のむしろでしょう。

不倫の相手

判例は、「夫婦の一方が不貞行為をした場合には、不貞行為の相手方は、他方の夫または妻としての権利を侵害しており、夫婦の他方が被った精神的苦痛を慰謝すべき義務がある」としています。

このように、不倫の相手側は、不倫相手の配偶者から損害賠償を請求されるおそれがあります。

これは、ある公証役場で聞いた話です。妻子ある男性と不倫をした女性が、相手男性の妻に損害賠償金を支払うことになりました。支払内容を公正証書にする際に、一括で全額支払うことができるにもかかわらず、あえて分割で支払う取り決めをするケースがよくあるそうです。その主な目的は、相手女性が長期間支払うことによって、後悔の念を知らしめるためだそうです。ちょっと怖い話ですね。

2.社会的制裁

不倫報道を見て、ほとんどの方は眉をひそめると思います。それは、不倫が、倫理的問題と深く関わっていることにあると考えられます。

そのため、本来であれば、不倫は当事者やその家族といった閉鎖的な範囲で解決して完結させるべきものですが、実際はその範囲に止まらず、たとえば、芸能人は長期間の謹慎、番組の降板など、一般的には、人事異動(左遷)などの制裁が伴うことがあります。

3.信頼の失墜

なによりきついのは、信頼の失墜でしょう。これは、無形の制裁ですが、根強くしかも長期にわたって継続します。そのため、信頼回復は一定の時間と困難を伴うのが常です。

このように、不倫は大きな代償が伴います。

不倫はしてはいけないことはだれでもわかっていることです。しかし、わかっていながらしてしまうのは人間の悲しい性。しかし、たいてい不倫は発覚します。そして、待ち受けているのは法的・社会的制裁です。万一、不倫しそうな場面に直面したら、この制裁を受け入れる覚悟があるか自分の胸に聞いてみましょう。それでも踏み越えてしまったら、早晩訪れる制裁を受け入れるしかないでしょう。

※佐田さんはお子さんを認知しています。認知について詳しくは「バッドボーイズ佐田さんが子どもを「認知」~認知とは?認知をするとどうなるの?」をご覧ください。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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