発語がない2歳7ヶ月。来春から幼稚園に馴染めるか不安。
こんにちは!保育士ごんちゃんです。
現在、保育士として地域の公民館や療育教室で親子遊び講座をしたり、地域の保健師さんと一緒に子育て講座にまわったりするような働き方をしながら、子育てに関する情報発信をしています。
先日、おたよりフォーム宛にこんなご相談をいただきました。
【ペンネーム:こーちゃんママさんより】
しゃーごんさんはじめまして。初めておたより送ります。
現在2才7ヶ月の男児を自宅保育しています。来年、幼稚園にいれる予定なのですが…ひとつ悩んでいます。それは、息子の発達がゆっくりなので幼稚園生活でなじめるか不安という事です。
息子は現在までで意味のある単語を一文も話せません。行政の保健師さんからのすすめで、臨床心理士さんと個別面談しましたが「3才まで経過観察」と言われています。
少しでも馴れてくれればと思い、近所のプレ幼稚園には通っています。しかし知らない人が怖いようで、毎回私に抱きついてほぼ泣いて過ごします。
何回か通ったある日、私は愕然としました。同学年のお友達が曲に合わせて歌って踊り、工作では先生の指示通り工作を楽しむ姿に。
「2才児ってこんなに人の言う事聞けるの?」これが最初の感想でした。
正直言うと息子はプレ幼稚園での、遊戯も工作もひとつもハマりません。内容がうちの子の成長に合っていないのかもしれません?でも、今ありがたいことにコロナ禍のなか、時間短縮しながらも一生懸命やってくれる先生たちの姿を見てるので何も言いません。
こんな事ほんとは思いたくもないのですが…なんだかプレの場にいると我が子が「ふつう」じゃないように見えてしまうのです。(そもそも自分でも普通の定義をわかってないのですが)
とは言え、我が子の発達に悩む親としては、お友達と同じようにしてほしいわけではなく!優劣も評価もどうでもいいと思っています。ただ息子が毎日を楽しんでくれればそれだけでいいです。
息子に楽しんでもらうためには早くから療育に通わせるべきなのでしょうか?実際に通わせてからの判断でも、と今は思っています。
今回はこちらのご相談内容をもとに、子どもの療育や発達支援についてどう考えるか、わたしなりの考えをお話したいと思います。
▼子どものペースで成長を見守ろう
今回のご相談は、2歳7ヶ月のお子さんに発語がなく、発達を心配しているというお母さんからいただきました。
臨床心理士さんとの個別面談を受けて3歳まで経過観察ということで、現在は療育的な支援を受けているわけではない状況ですね。
まず大前提としては、発語のペースには個人差があり、特に発達に特性がないお子さんでも3歳ごろまで話さないケースということはありえます。
しかし、「発語がある・ない」というのは日々親子の関わりの中で意識が向きやすいことなので発語がないと心配される親御さんは多いんですよね。
そして今は、近所のプレ幼稚園に通っておられるため、他のお子さんと関わる機会もあり、余計に成長発達を比べてしまいやすい状況になっていらっしゃるように文面から感じました。
子どもにその集団での活動を楽しんでほしいと願うのが親心ではありますが、「お母さんが安心」という愛着関係ができているのはまず素晴らしいことだと思います。
▼「普通」を求めてしまう心理
ご相談者さんであるお母さんは「こんな事ほんとは思いたくもないのですが…なんだかプレの場にいると我が子が「ふつう」じゃないように見えてしまうのです。(そもそも自分でも普通の定義をわかってないのですが)」とおっしゃっています。
わたしたちは無意識のうちに「普通」いわゆる「多数派」や「みんなと同じ」であることを求めてしまいます。特に日本人はこの傾向が強いと言われています。
そのほうが間違っていないように思えるので、多数派に属することに安心感を覚えるんですよね。
そして日本人にその傾向が強いのは、歴史的に集団主義的だということもありますが、黄色人種が圧倒的に多く「同じであることが当たり前」と感じさせられるところもあると思います。
例えばアメリカのように、黒人の方もいて白人の方もいて、アジア系の方もいて…という場合と比べると、日本ではみんな一緒であることを当たり前に感じてしまいがちです。
しかし、人はひとりとして同じ人は存在しないはずです。生まれ持った顔かたちも違えば、生まれ持った気質やタイプも違いますから、成長や発達に日本人の平均というものはあっても絶対的な指標はありません。
わたしが子どもの育ちに関わるうえで大切にしたいと思うのは、その子をその子として見るということです。
たしかに保育や療育の仕事をしていても、複数の子どもが一緒にいるからこそそれぞれの違いが見えたり感じたりすることはあります。
しかし、比べることでみんなに同じ基準を求めることはしませんし、できるだけ個々の持ち味をいかしてもらえる関わりをしたいと心がけています。
▼療育的なアプローチを受けるべきなのか
ひとことで「療育に通う」と言っても、さまざまな段階的アプローチがあります。いきなり療育センターのような大きな専門施設に行くことだけが療育に通うことではありません。
まずお子さんの発達について親が意識させられるキッカケとして、行政で行われる定期の健診の機会がありますよね。
特に発語に関しては、1歳半の健診時にチェック項目として見られるので、そこで発語が見られなかったりゆっくりであったりする場合に、地域の保健師さんの個別フォローが入ることがあります。
今回のご相談のケースでも、そのような定期健診をキッカケに保健師さんの勧めで個別面談を受けられているかもしれないなと思いました。
その後経過を観察しながら、お住まいの地域によっては保健センターなどの施設内で開催される療育教室を案内してもらえることもあります。
わたしが保育士として伺っている療育教室というのがまさにこの段階に位置するもので、療育センターのような専門の施設で診断を受ける前段階として、定期的に療育的なサポートが受けられる場所となっています。
そして今回おたよりの中でいただいているご質問で「息子に楽しんでもらうため早くから療育に通わせるべきか」という内容に関しては、絶対に早いほうがいい!とは思わないですが、選択肢として検討してみるのも方法のひとつではあると思います。
療育的な支援を受けることによるメリットは、お子さんの発達状況に合わせた活動を経験できるほかにも、悩みを共有できる保護者さん同士のつながりができたり、療育専門のスタッフに相談がしやすくなることなどがあります。
また、来春からの幼稚園入園についてもご心配されている部分がありますので、もしも加配の先生をお願いしたり個別にサポートが必要と感じたときにも、それまでに療育的な支援を受けていると相談がしやすくなる場合もあります。
お住まいの地域によっては、専門の療育施設で診断を受けるのに長い期間予約を待つことになるという話もよく聞きますので、担当の保健師さんに一度相談されてみるのもよいと思います。
▼特性のあるなしに関わらず子育てにおいて大切なこと
わたしたち親は、これから子育てをしていくにあたって「他の子と比べてわが子がどう」と意識させられる機会が無数にやってくると思います。
そんな時に大切にしたいのが「わが子に集中する」ということです。他の子がどうだからということに惑わされすぎると、親も育児やわが子の成長が楽しめなくなります。
「集団生活で困らないように」と不安や心配になるのが親心ではあると思いますが、もしも集団生活で困ったことがあった場合も、その時に親が100%子どもの味方であり続ければいいんだと思います。
子どもに無理して集団に馴染ませようと無理をさせる必要もないですし、他の子と同じようにできることを求める必要もありません。
またこれからの時代、わたしが大切だと思うのが「なんでもそつなくできること」よりも「自分の得意なことや好きなこと、しあわせなことが分かること」だということです。
これからの生き方はますます多様になり、いい大学に入っていい会社に入れば安泰、という昔よくあった価値観はどんどん薄れていくと思います。
そんな時に「自分がどう生きていきたいか」「何をすることがしあわせなのか」が分かれば、人からの評価は関係なく自分の道を切り拓いていけると思います。
そして自分の得意なことや好きなこと、しあわせなことが分かり、満たされた思いで生きていけるかどうかに、特性のあるなしは関係ないと思っています。
今回のご相談者さんはおたよりの中で「我が子の発達に悩む親としては、お友達と同じようにしてほしいわけではなく!優劣も評価もどうでもいいと思っています。ただ息子が毎日を楽しんでくれればそれだけでいいです。」とおっしゃっています。
自分の成長をいちばん近くでこんなふうに見守ってくれるお母さんがいる息子さんは、きっとしあわせに生きていけると思います。
<その他SNSでも子育てに関する情報発信をしています>
Instagram ー 子育ての体験談や保育に役立つ情報などをイラストを交えて投稿中!
Voicy ー 「無理しない育児」をテーマに子育てのことを音声配信中!
Twitter ー 子育てに関するメモや記事更新情報などを発信中!
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました。また次回の記事でお会いしましょう!