ひとり旅におすすめ! ソロ温泉の達人があえて「貸切風呂」を利用する理由
湯船に一人つかり、自分の時間を満喫する。このように、日常の生活では得られない「空白の時間」を確保できるのが、ソロ温泉(ひとりでの温泉旅)の醍醐味である。
湯船をひとりで独占することを、温泉愛好家は「独泉」と呼ぶ。
しかし、必ずしも独泉の状態で入浴できるとはかぎらない。大型の旅館やホテルであれば、ひっきりなしに人が出入りする。週末ともなれば、独泉にありつける時間は限られるだろう。
ただ、他の入浴客もソロであれば、よほど混雑していない限りはさほどまわりは気にはならない。しかし、にぎやかなグループや団体客と鉢合わせすると調子が狂う。
仲間といっしょに浴室中に響く大声で会話をするグループや、コロナ禍の最中なのに黙浴のマナーを守らずにずっと会話をしているグループもよく見かけた。
ソロ温泉でひとりの時間を愉しみたい場合は、自分のほうから独泉となる手立てを考えるほかない。
そこでおすすめしたいのが、貸切風呂(家族風呂)である。
九州は貸切風呂天国
小さな子供がいる家族、介助が必要なお年寄、タトゥーを入れている人、ラブラブ期のカップルなど、貸切風呂はニーズが高いためか、最近では大浴場とは別に貸切風呂を設ける温泉旅館が増える傾向にある。
貸切風呂は追加料金が必要になるケースが多いが、なかにはサービスの一環として貸切風呂を宿泊料金込みで提供している宿もある。これらは中小規模の温泉宿でよく見かける。
特に、九州の温泉には「貸切(家族)風呂」が文化として根づいている。旅館にかぎらず、家族風呂限定の日帰り施設や、まるでカラオケボックスのように個室が並ぶ温泉施設もめずらしくない。しかも、他のエリアの家族風呂よりも料金が手ごろで、施設によっては数百円で貸切にできるところもあるくらいだ。
予算に余裕があるなら、有料の貸切風呂を利用するのもありだろう。追加料金が発生する場合、1000円~3000円が相場である。部屋付き露天風呂と比べれば安価で済む。
1泊2日のうち入浴できるのは3~4回程度であるから、そのうち1回くらいは貸切風呂で確実に独泉を愉しむという考え方もできる。
貸切風呂は湯の質も高い
貸切風呂にはもうひとつメリットがある。比較的、源泉の質が良いことである。
貸切風呂は総じて湯船が小ぶりなので、循環せずにかけ流しにされるケースが多く、「大浴場は循環式だが、貸切風呂はかけ流し」という場合もある。湯船が小さい分、湯の鮮度や清潔感が保たれやすいというメリットも無視できない。
ひとりの時間を大切にするソロ温泉では、貸切風呂を上手に活用したい。