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バルサのS・ロベルトの「再コンバート」は成功するか?求められる「旗手」の存在と若返り。

森田泰史スポーツライター
得点を喜ぶバルセロナの選手たち(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

バルセロナを支えるのはカンテラーノだ。そうあるべきである。若返りが求められるチームにおいて、リーダーシップの発揮が期待される一人がセルジ・ロベルトだろう。

S・ロベルトをトップデビューさせたのは、ジョゼップ・グアルディオラ監督(現マンチェスター・シティ)である。2010-11シーズン、18歳だった彼を勇敢な指揮官がピッチに送り出した。

だが黄金時代を謳歌していたバルセロナでトップの壁は厚かった。出場機会に恵まれないまま、時間だけが過ぎた。移籍を検討し始めていた折、二つの出来事がS・ロベルトの「針路」を変える。主力選手の負傷とコンバートだ。

■サイドバックの資質

ルイス・エンリケ監督(現スペイン代表)はS・ロベルトにサイドバックとしての資質を見出した。2015-16シーズンのプレシーズンでS・ロベルトを右サイドバックで起用したL・エンリケ監督は「興味深いリソースになるかも知れない」と手応えをつかんでいた。

そして、15-16シーズン開幕前、D・アウベスの負傷というアクシデントがチームを襲った。それまで不動の右サイドバックだったダニ・アウベスが不在となり、指揮官は本格的にS・ロベルトを右サイドバックに据えることを決断した。

■再び中盤にコンバート

そのS・ロベルトが、今季、中盤に「再コンバート」されている。

キケ・セティエン監督は、リオネル・メッシ、ルイス・スアレス、アントワーヌ・グリーズマンを共存させるために、システム変更を断行した。従来の【4-3-3】ではなく【4-3-1-2】が施行され、バルセロナはアトレティコ・マドリー戦、ビジャレアル戦、エスパニョール戦を2勝1分けと切り抜けている。

また、フレンキー・デ・ヨングの負傷離脱がセティエン監督の痛手となった。今季、リーガエスパニョーラで27試合出場、出場時間2078分、パス本数1567本、パス成功本数1438本、パス成功率91%、ボール奪取数135回という獅子奮迅の活躍をしてきた選手が、リーガのタイトルを争う段階でいなくなってしまった。

加えて、アルトゥール・メロがシーズン終盤の移籍決定で難しい状況に置かれている。先日、ユヴェントスとバルセロナの間で、アルトゥールとミラレム・ピャニッチの実質的なトレードが成立した。バルセロナ側は移籍金固定額6000万ユーロ+ボーナス500万ユーロを支払い、ユヴェントス側は移籍金固定額7200万ユーロ+ボーナス1000万ユーロを支払う。

つまり、バルセロナはアルトゥールの売却で移籍金固定額1200万ユーロ(約14億円)+ボーナス500万ユーロ(約6億円)の利を得る計算だ。

■当初のプラン

今季、バルセロナはS・ロベルトを右サイドバックの選手として考え、シーズンをスタートさせた。エルネスト・バルベルデ前監督の下、中盤の選手として計算されていたのはデ・ヨング、アルトゥール、セルヒオ・ブスケッツ、イバン・ラキティッチ、アルトゥーロ・ビダル、カルレス・アレニャだった。

リーガ序盤戦でバルベルデ前監督はS・ロベルトを中盤起用していた。しかし、それはラキティッチがネイマールの獲得オペレーションに含まれる可能性があったからである。事実、ヘタフェ戦(第7節)からS・ロベルトは右サイドバックにポジションを戻されている。

「私はセルジ・ロベルトに値するようなプレータイムを与えられなかった。けれども、彼は近い将来バルサの旗手になる存在だ」

2013-14シーズン終盤、タタ・マルティーノ監督は、そう語った。そのシーズン、S・ロベルトはリーガ13試合出場にとどまっていた。

これまで、S・ロベルトはチームの台所事情によって、ポジションを変えられてきた。旗手になる可能性がある選手をどう扱うかは、今後のバルセロナにおいて重要なポイントになるかもしれない。

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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