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西日本・東日本で「連休猛暑」 原因は2層の高気圧

森さやかNHK WORLD 気象アンカー、気象予報士
(ペイレスイメージズ/アフロ)

暑さの代名詞であるエジプトの、例えばカイロの7月の最高気温は、平均で35℃です。この3連休、西日本と東日本の多くの地域で、これに匹敵するか、または高い気温が予想されています。さらに湿度も加わるため、体感温度は40℃を超え、危険な暑さとなりそうです。

予想気温

3連休に予想される各地の最高気温と最低気温は下記の通りです。この時期の平均気温を約5度も上回る、過酷な暑さとなる予想が出ています。

気象庁の最高気温の予想をもとに筆者作成
気象庁の最高気温の予想をもとに筆者作成

日本人の体温の平均はおよそ36.2℃とも言われていますが、体温を上回るような暑さになると、うまく体温調節が行えず、体が危険な状態になりやすくなります。

熱波の原因

この危険な暑さの原因はなんでしょうか。

それは、高気圧の2段階構造です。

13日の地上天気図(気象庁)に筆者加筆
13日の地上天気図(気象庁)に筆者加筆

太平洋高気圧

まず下段には、ハワイに中心を持つ巨大な「太平洋高気圧」の一部と、九州付近に中心を持つ小さな高気圧があります。

地上天気図では、九州付近で等圧線がコブのように突き出ていて、まるで「鯨の尾」のような張り出しをしているように見えるかと思います。これは晴天と暑さが長続きするパターンです。

チベット高気圧

そしてこれらの高気圧に蓋をするような形で、大陸から伸びる「チベット高気圧」が覆っています。これはチベットやヒマラヤ付近に中心を持ち、上空10kmよりも高いところに存在している高気圧です。

下層から上層にかけて高気圧に覆われていることで、西日本と東日本で気温が上昇しています。

過去には国内最高気温

猛暑だった2013年にも、この「太平洋高気圧」と「チベット高気圧」が出現し、現在の国内史上最高気温記録である41.0℃が高知県四万十市で観測されました。

危険な暑さは今度も

異常天候早期警戒情報(気象庁)
異常天候早期警戒情報(気象庁)

気象庁の発表によると、この暑さは7月下旬にかけて続く見込みです。今年は例年に比べ数週間も早く梅雨が終わっている分、夏本番の暑さが早くから始まっています。

地震や豪雨の被害で作業を行う被害者の方、救助の方、さらにボランティアの方などは、環境の急変などで熱中症のリスクが一段と高くなっています。

適切な休養や水分・塩分をできるかぎり取るなどして、ご自身の身を守っていただきたいと思います。またお互いに体調を確認しあえるように、複数人で作業をされることも大事かと思います。

平成30年7月西日本豪雨による被害に対し、緊急災害支援募金(Yahoo!基金)を行っています。ご協力のほど、よろしくお願い致します。

NHK WORLD 気象アンカー、気象予報士

NHK WORLD気象アンカー。南米アルゼンチン・ブエノスアイレスに生まれ、横浜で育つ。2011年より現職。英語で世界の天気を伝える気象予報士。日本気象学会、日本気象予報士会、日本航空機操縦士協会・航空気象委員会会員。著書に新刊『お天気ハンター、異常気象を追う』(文春新書)、『いま、この惑星で起きていること』(岩波ジュニア新書)、『竜巻のふしぎ』『天気のしくみ』(共立出版)がある。

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