”メンバー固定”の6月シリーズ。森保監督が思い描いた「色んな選手」を仮想して、26人を作ってみた。
日本代表の森保一監督は6月のアジア二次予選、アウェーのミャンマー戦と広島で開催されるシリア戦に向けた26人のメンバーを発表しました。
パリ五輪世代の鈴木唯人(ブレンビー)がデンマークでの活躍を高く評価されて、公式戦を戦うフルメンバーとしては初めて招集されたほか、新監督のもと、中盤のポジションを掴んだ鎌田大地(ラツィオ)やJ1の首位クラブを幅広く支えるGK谷晃生(FC町田ゼルビア)が選ばれましたが、すでに突破を決めた二次予選の残り試合で、大幅な入れ替わりはありませんでした。
おそらく3月にアウェーの北朝鮮戦が不戦勝となり、当時の招集選手を数多く試合で使えなかったこと、そして最終予選に向けた貴重な活動期間で、チームの目を合わせておきたいこと。もしかしたらシステムや組み合わせでも、新たなトライがあるかもしれません。
しかし、森保監督は「色んな選手を招集させてもらうという選択肢も持っていました」とも語っており、より多くのフレッシュなメンバーを招集するプランも存在したことを明かしています。そこで今回は3月から半数を入れ替えたらどうなったかというコンセプトで26人を組んでみました。
結果的に3月招集組から外したメンバーは単純な個人の評価というより、このタイミングに休ませたい、新しい選手をテストしてほしいポジションといった基準が多分に加味されています。またパリ五輪を目指すU-23代表のアメリカ遠征に招集された選手は対象外としました。
GKはそのまま3月に出場の無かった前川黛也(ヴィッセル神戸)と大迫敬介(サンフレッチェ広島)、そして谷で構成されているはず。”裏日本代表”であれば違った人選も可能ですが、今回はあくまで森保監督の基準と傾向に従った上で、もし多くの入れ替わりがあればという記事なので、そこは異論なしとします。
右サイドバックはアジアカップであまり出番が無かったところから、オランダで調子を上げてきた菅原由勢(AZ)と3月の北朝鮮戦は途中出場だった橋岡大樹(ルートン・タウン)を残して、スイスで対人能力と推進力を見せる常本佳吾(セルヴェット)を加えました。
センターバックは冨安健洋(アーセナル)と町田浩樹(サンジロワーズ)を二枚の軸として、パワフルな守備でベルギーの名門で守備の中心を担う渡辺剛(ヘント)、そして通常は左サイドバックの伊藤洋輝(シュトゥットガルト)をセンターバック枠で入れました。所属クラブでのパフォーマンスを考えても、6月シリーズではセンターバックで試してほしい思いは強いです。
冬の加入からコルトレイクの奇跡的なベルギー1部残留を支えた藤井陽也も有力候補としてリストアップしていましたが、絞り込みの段階で入れ替え戦の怪我というのがあり、おそらくリアルの招集も困難と見て、今回は入れませんでした。
ボランチはキャプテンの遠藤航(リバプール)を筆頭に復帰の鎌田、川村拓夢(サンフレッチェ広島)はそのまま。そこに3月の代表を辞退した佐野海舟(鹿島アントラーズ)を入れた以外は変更なしです。川村は正月のタイ戦でA代表デビュー、得点も記録していますが、前回のホーム北朝鮮戦は出番が無かったこともあり、今回は長い時間の出場に期待したいところです。
二列目の右サイド代表に対する思いを常に押し出す堂安律(フライブルク)を残して、個人で流れから、そして左足キッカーとしても違いを作り出せる紺野和也(アビスパ福岡)を加えました。紺野はJリーグでも存在感はありますが、むしろ国際舞台で、サイズの大きなディフェンスの合間を突いていくようなプレーが、タレント揃いの二列目でも明確なアクセントになりえます。
同ポジションでは、そのほかにも何人か候補は浮かびましたが、”大岩ジャパン”に招集された選手を対象外にしたのと、何度か推薦している金子拓郎(ディナモ・ザグレブ)も後半戦は勢いを失っていることもあり、保留としました。そのほか3バックをテストするなら新井直人(サンフレッチェ広島)も面白いと思いましたが、A代表の場合はある程度、長い尺での活躍を選考基準にする傾向があり、現時点では”次点”としておきます。
二列目の”10番ポジション”は森保監督の選考で、数少ないサプライズだった鈴木、ポリバレントの旗手怜央(セルティック)に加えて、宮代大聖(ヴィッセル神戸)を加えました。打開力と決定力を併せ持つ宮代。神戸では4ー3ー3のインサイドハーフで起用されており、代表でも同ポジションで考えられますが、4ー2ー3ー1との可変型で、南野のような役割をこなしながら、より個で仕掛けるスペシャリティを発揮すれば、大きなアピールになるでしょう。
左サイドは中村敬斗(スタッド・ランス)と攻撃的なポジションを幅広くこなせる相馬勇紀(カーザ・ピア)が、三笘薫(ブライトン)のいない左サイドで競走する構図です。FWは前回プレー時間の短かった小川航基(NEC)をはじめ、新天地で一時苦しみながら輝きを取り戻し、ドイツ1部への昇格に貢献した町野修斗(キール)、そしてリーグドゥ(フランス2部)で15得点を叩き出し、古豪を悲願の優勝とリーグアン昇格に導いたオナイウ阿道(オセール)という3人に。
オナイウは同じリーグドゥのトゥールーズで欧州挑戦をスタートさせてから3シーズン。選手によっては帰国する選択をとってもおかしくない状況で、粘り強く現地のフットボールに適応して、いよいよ5大リーグのトップカテゴリーに足を踏み入れることになりそうです。今回は町野とともにメンバー入りしませんでしたが、FWは結果が素直に評価されやすいポジションであることから、リーグアンでも結果を出せれば代表復帰のチャンスは巡ってくるはずです。
今回、独自の選考でメンバーに入れた選手たちは9月に始まる最終予選にぜひ食い込んでほしいですし、今回は選出できなかった候補もたくさんいるので、そうした選手たちの台頭にも期待して、リアルな”森保ジャパン”の2連勝を願いながら取材したいと思います。