WBCには出ないけど壮行試合で要注目。侍ジャパン投手陣に牙を向く台湾の大王
昨季、台湾リーグで.414の高打率を残したラミゴの王柏融(ワンボーロン)が11、12日に行われたロッテとのアジアゲート交流戦に出場。昨年10月以来の実戦となるにもかかわらず初戦で2打席連続本塁打を放つなどその打撃力を遺憾なく発揮した。
台湾プロ野球史上初の200安打でMVP
「まだ調整段階で昨日打てたのも正直ビックリしてます」そう話す1993年生まれの若きスターは昨季、台湾リーグで史上初の年間200本安打を達成した。4球団で争われる台湾リーグは年間120試合。2試合に3本、つまり1試合平均1.5本ペースでは200安打に届かない。イチローがNPB史上初の年間200安打を達成したのは122試合目だった。
台湾リーグのボールは反発力が高く、防御率3点台の投手は1人しかおらず5.28でもリーグ5位。4割打者が3人いる打者天国ではあるがその中でも王柏融の成績はズバ抜けている。最多安打を放つだけでなく29本塁打(リーグ4位)、105打点(リーグ3位)と主軸としての数字も申し分なくOPSは1.165。おまけに24盗塁(リーグ2位)と足も速く守ってもゴールデングラブ賞を受賞。最多安打、首位打者、ベストナイン、新人王に加えMVPも獲得した。
日本で松井秀喜が「ゴジラ」と呼ばれたように王柏融は台湾で「大王」と呼ばれている。名付け親であるラミゴの浦韋青アシスタントGMは「どの面でも王になって欲しいということと名字の王をかけて、世界の王になれるように」と願いを込めた。近い将来、海を渡る可能性は十分にある。
NPBにも詳しく壮行試合を楽しみにしている
王柏融本人も日本でのプレーを希望しており、憧れの選手はソフトバンク・柳田とオリックスから阪神に移籍した糸井。抜群の身体能力を持つ2人を挙げた理由は「右投げ左打ちの外野手で同じタイプの選手だから」台湾のスター・陽岱鋼が昨季まで在籍していた日本ハムの試合をよく観ていたらしく、日本のプロ野球にも詳しい。対戦したい日本人投手はやはり日本ハム・大谷。台湾でもかなり有名で今回のWBC出場辞退を残念がっていた。
ただ王柏融もWBCには出場しない。主にアマチュアを管轄する中華民国野球協会と台湾プロ野球を運営する中華プロ野球大連盟とのゴタゴタにより所属するラミゴはWBCへの選手派遣を見送ったためだ。それでも台湾プロ野球選抜の一員として2月28日と3月1日にヤフオクドームで行われる侍ジャパンとの壮行試合には出場する。「WBCには出ないですけど今回台湾は日本とは違うグループですし、壮行試合で対戦出来ることを楽しみにしています」
アマチュア時代にはWBSC U-21ワールドカップ決勝で日本を破って優勝を飾り、プレミア12でも若くして台湾代表に名を連ねた。WBC開幕直前で本気モードの侍ジャパン投手陣に台湾の大王が牙を向く。