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台風16号 モネの誕生日に襲来した1995年の台風12号と類似

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
左:1995年台風12号進路図 右:台風16号の進路予想図(出典ウェザーマップ)

 上記の図、左が26年前の台風12号。右が、日本付近に接近中の台風16号です。この台風の進路、似ていませんか?

 朝ドラ「おかえりモネ」が始まったとき、モネの誕生日について記事を書きました(参照記事)。くしくも、ドラマが終盤を迎えた今になって、同じような台風が日本に接近しつつあります。

 実際にあった出来事がフィクションの題材になることは、よくあることです。

 台風で嵐の日にモネの母、亜哉子(鈴木京香)は離島の亀島(架空の島)から船で気仙沼に渡り、モネ(清原果耶)が誕生しました。この台風のモデルになったのが、1995年(平成7年)の台風12号です。12号は台風が発達しやすいと言われるマリアナ近海で9月13日に発生し、わずか3日で中心気圧が925hPaまで下がり、最大風速50メートルの台風となりました。そしてこの台風はその後北上を続け、上陸こそしませんでしたが、関東の南東をかすめて三陸沖から北海道の南東海上に抜けていきました。

 ドラマの中のテレビでは「超大型で非常に強い台風12号が~・・・」とアナウンスされ、波の高さも5~8メートルと伝えられていました。

 さて、ドラマと実際の台風がごちゃごちゃになってしまいましたが、1995年の台風12号と今回の台風16号は、どうも同じようなコースを通りそうなのです。

上陸しなくても暴風・大雨

1995年台風12号の衛星画像(出典 国立海洋大気管理局、NCDC)
1995年台風12号の衛星画像(出典 国立海洋大気管理局、NCDC)

 改めて、台風12号当時を振り返ってみます。

 台風12号は1995年9月17日、超大型で非常に強い勢力で伊豆諸島に接近し、八丈島付近を通過しました。接近時の中心気圧は930~940hPa。八丈島では観測史上1位となる最低海面気圧(注1)932.4hPaを記録しました。また、三宅島では最大瞬間風速、55.4メートル以上を観測。この「以上」というのは、あまりの暴風で風力計が破損して、その後の値が観測できなくなってしまったからです。統計的には参考記録になってしまいましたが、今も観測史上1位の値となっています。

 その他、千葉県銚子でも最大瞬間風速46.9メートルの暴風が吹き荒れました。

 さらに風だけではありません。当時は台風の北側に前線があったこともありますが、千葉県を中心に350ミリ前後の大雨、東海や東北地方でも200ミリを超える雨量となりました。

 住家の全半壊一部破損、床上浸水多数、死者2名、行方不明者3名の大きな被害が出たのです。

10月1日ごろ接近か

左:暴風域に入る確率 右:1日(金)朝の雨と風の予想 (出典 気象庁※一部抜粋、ウェザーマップ)
左:暴風域に入る確率 右:1日(金)朝の雨と風の予想 (出典 気象庁※一部抜粋、ウェザーマップ)

 上図の左は、暴風域に入る確率を図で示したものです。赤が30~70%、紫は70~100%です。これを見ると、伊豆諸島は高い確率で暴風域に入ることが予想されます。

 今回の16号とおかえりモネの題材となった台風12号は、いまのところ進路が似ています。進路が似ていれば、それによって引き起こされる現象も似ると考えられます。もちろん時代が違いますからまったく同じ被害がでるわけではありませんが、関東地方やとくに伊豆諸島は大きな影響が出ることが想定されます。

 もし台風が進路の中心を通るとすると、おそらく金曜日頃に関東に最接近となるでしょう。場合によっては警報級の大雨になるところもありそうです。

※台風情報は最新のものをご確認ください。

注1)最低海面気圧とは、観測地点の標高を考慮し、実測値を海抜0メートルでの数値に換算した値

※被害の内容を一部修正しました。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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