コロナ禍における新しいランニングの形「TAMAGAWA FKT」
バーチャルでタイムを競うFKTというレース
コロナ禍の今、自治体主催の大会を中心に多くのランニングイベントが中止になり、一般ランナーが力を試す場がなかなか少ない。モチベーションが低下し、せっかく始めたランニングもなかなか習慣化しないという人もいるのでは……⁉
そんななか、誰もが気軽に参加できる新しいレースが誕生した。それが「TAMAGAWA FKT by Riverside Micro Race(タマガワ エフケーティー バイ リバーサイドマイクロレース)」だ。
FKTとはFastest Known Timeの略で、直訳すれば、“知られている限り最も速いタイム”となる。特定のコースを走ってタイムを自身で計測し、ネット上などでそのタイムを競うというもの。トレイルランの世界では近年人気を集めている楽しみ方の1つで、仮想の相手とタイムを競い合う。
TAMAGAWA FKTは、今年の箱根駅伝を制した駒澤大をはじめ多くの実業団、大学の強豪チームが練習場所としている多摩川河川敷が舞台。数々のマイクロレースを主催しているオトナのタイムトライアルと、アスリート向けSNSを展開するSTRAVAの協力の元、ニューバランスジャパンが、公益財団法人世田谷区スポーツ振興財団との共催で誕生させた。
開催期間は5月16日から6月14日で、ランナーは、河川敷(二子玉川緑地運動場)に設けられた1マイル(=約1.6km)のコースを走って、GPSデータをSTRAVAアプリにアップすればいい。自分の好きなタイミングで走ればいいのも大きな魅力だ。
グローバル・ランニング・デーに体験
今年のグローバル・ランニング・デー(毎年6月最初の水曜日)だった6月2日、ニューバランスの最新レーシングシューズのFuelCell RC Elite v2の試し履きを兼ねて、筆者もTAMAGAWA FKTに参加してきた。
ランニングトレーナーの黒川遼コーチの指導でウォーミングアップもばっちり。普段のジョグのペースから8分切りを目標にしていたが、反発弾性が強化されたFuelCell RC Elite v2のおかげで、走り出しから気持ちよくスピードを出すことができた。
ラスト300mに備えるつもりが、思わずスピードが出た
オトナのタイムトライアルの西本武司さんからは「ラスト300mで切り替えられるように、脚を残しておくこと」とアドバイスを受けていたが、それよりも自分のリズムを優先させてしまった(のちのち反省)。
結局、西本さんの忠告を破ったために、ラスト300mでペースアップはできなかったが、目標タイムを大きく上回る6分14秒で走りきることができた。
1km4分を切るペースではしばらく走っていなかったので、体はビックリしていたが、自分への挑戦という意味では満足感があった。
このように、最速タイムにチャレンジするだけでなく、自分で目標を設けてそれに挑むことができるのもTAMAGAWA FKTの楽しみ方だ。走力に自信のあるランナーなら、プロランナーの神野大地選手らトップ選手のタイムに挑んでみるのもいい。もちろん仲間内で競い合うのも楽しい。
百聞は一見に如かず。自分の脚で走ってみるのが一番だが、思いのほか楽しい体験だった。STRAVAのセグメントチャレンジなどでも、同様の体験はできるが、FKTという新しいレースの形に大きな可能性を感じた。