亀田興毅が完全引退 天心戦で伝えたかったメッセージとは
キックボクシングの世界王者の那須川天心(20)と、ボクシング元世界3階級制覇王者の亀田興毅(32)が、AbemaTVスペシャルマッチで対戦した。
激戦を繰り広げた両者だが、天心が亀田相手にボクシングでも高い実力を示した。
試合は大きな反響があり、AbemaTVの総視聴者数が1000万を超え、コメント数も40万を超えた。
2019年放送番組の中で、1位となる最高記録を更新。
また、Twitterでトレンド入りし最高2位、試合翌日に公開されたYouTube動画は急上昇ランキング1位を獲得している。
ネットでは、過去に例を見ないほどの反響となった。
試合後の控え室で、今回の戦いに挑んだ亀田に話を聞いた。
天心との対戦について
試合後に亀田は、晴れ晴れとした表情で、
「もうちょっといい試合が観せられたらよかったんですけどね。さすがに、衰えには勝てなかった」
と素直な感想を話してくれた。
天心との対戦に対しては、「すごく楽しかった。戦ってて思ったけど、天心くんは、頭もいいし、感のいい選手ですよ」
と話し、その実力を絶賛した。
特に優れている点としては、「距離感が上手いですね。しっかり自分のペースを崩さず戦えるのはすごい」と語った。
3R目にヘッドギアを外したことに対しては、
「最後は、興奮してヘッドギアをとってしまった。面白いかな、盛り上がるかなと思って」と、プロとしての血が騒いだようだ。
試合前の会見や公開練習の時から、亀田は、誰よりもこの試合を盛り上げようと演じていた。
その姿から、この競技を多くの人に、知ってもらいたいという熱い想いを感じた。
ボクシングに対するメッセージ
また、今回の試合の意味や、これからのボクシング界について、
「今日の戦いは、これからの格闘技界へのメッセージでもある」と話した。
「これからも格闘技界の中心でやっていくファイターと、引退したボクサーが拳を交えるっていうのは嬉しいこと。
でもやっぱり、こういう戦いが実現するのは難しい」
と、この試合が実現するまでの、苦悩を話した。
「批判の中、この試合をやったのは、自分なりにこの格闘技界に伝えたいものもあったし、
ボクシングを含めて、格闘技全体が盛り上がったらいい。
全てが1つになって戦わなければ、サッカー、野球などのメジャースポーツには勝てない」と語った。
ボクシングで育ち、この競技に人生を懸けてきた亀田は、この業界を盛り上げたいという想いが誰よりも強い。
「ルールをしっかり守って、横のつながりを持って、格闘技がメガコンテンツになっていったらいい」と、
ボクシングと格闘技との共存についての発言もあった。
また、今後の活動について「もう、戦わないですよ(笑)、もうさすがに。亀田興毅劇場終幕です。終わらせることができて、よかったです」
と穏やかな表情で話していた。
平成のボクシング界を盛り上げてきた亀田が、リングからの完全引退は寂しい気もする。
「すごく楽しかったですね。今日6月22日の亀田興毅が、できる全てのことを、出して終わることができました」
最後まで、やりきったと話してくれた。
今後のボクシング界
亀田が今回の企画に参加したのには、理由がある。
世界戦のテレビ中継離れから、プロ選手の減少、ジムの経営難など、ボクシング界には課題が多い。
試合にも以前より、人が集まらなくなっている。
チャンピオンになっても無名で、仕事をしながら競技を続けている選手もいる。
一昔前に比べ、様々な娯楽が増え、人々の関心も多様化している。
だからこそ、時代に合わせた、やり方を模索していく必要がある。
今回の企画には賛否両論あったが、結果として大きな注目を集めた。
ボクシングを知ってもらうきっかけになった、このような新しい取り組みも必要だろう。
また、競技だけでなく、選手達の魅力を伝えていくことも大切だ。
日本のボクシング界には、WBSSトーナメントに出場している井上尚弥や、日本人初の4階級制覇をした井岡一翔、
無敗で3階級を制覇した田中恒成など、世界トップクラスの選手がいる。
そんな、選手たちを知ってもらい、業界全体が活性化して、もっと盛り上がっていってほしい。
選手が活躍できる未来を期待したい。