【日本酒の歴史】明治の世の負の側面!どぶろくの製造禁止について
明治の世も明けた1899年、政府は密やかにどぶろくの息の根を止めました。
自家製酒税法の廃止によって、庶民の楽しみであったどぶろくは「密造酒」の仲間入りを果たし、製造も飲用も禁じられたのです。
これはつまり、国民の酒欲を税収のかかる清酒へと誘導し、歳入を増やそうという政府の算段であったものの、世の中そう甘くありません。
期待に反して、酒税の収入が跳ね上がることはなく、この禁制はむしろ庶民の反発を招きます。
こうして、1980年代には「どぶろく裁判」が起き、2002年にようやく「どぶろく特区」が誕生するまで続きました
また、一方ではアルコールの蒸留技術が進化を遂げ、1911年には新式焼酎、さらに1920年には米に頼らぬ合成清酒が現れたのです。
科学が生んだこの「新清酒」は、「ぜいたくは敵」との風潮を追い風に、いつしか庶民の杯を満たす存在となってきました。
参考文献
坂口謹一郎(監修)(2000)『日本の酒の歴史』(復刻第1刷)研成社