世界最大級の氷山、南極海の島に接近中 衝突か回避か
指さしのマーク、もしくは淡路島にそっくりな形をした氷山が、南極海を漂流しています。
「A68a」と名付けられたこの氷山は、淡路島の10倍の面積に匹敵する5,800平方キロと、世界の観測史上最大級の大きさを誇ります。
2017年に南極のラーセン氷床から分裂し、それ以後3年にわたり、流れに身を任せて海を漂っているのです。
あと250キロ
実はこの島が、ある深刻な問題を引き起こすのでは、と危惧されています。
欧州宇宙局によると、現在A68aはイギリス領サウスジョージア島から250キロの距離にあるようです。タイトルの衛星画像には、氷山と、それとほぼ同じような面積を持つサウスジョージア島の両方が写されています。
衝突すれば…
では、もしこのまま氷山が島に衝突したり、沖合で座礁したりすればどうなるのでしょうか。
そうなれば野生動物にとって悲劇が起こります。ペンギンやアザラシといった動物が、氷山のせいで海中で餌を取る際に大幅な遠回りを余儀なくされて、体力尽きて命を落としたり、地上で餌を待つ赤ちゃんもまた空腹のまま死んでしまったりする可能性があるというのです。
実は2004年、A68aよりも小さな氷山がサウスジョージア島付近に座礁したときも、多数のペンギンやアザラシの赤ちゃんの死骸が海岸で見つかったと言われています。あまりにも悲しい結末です。
回避の可能性も
ただ、明るいニュースが飛び込んできたようです。11月末に行われた衛星観測で、A68aは進路を西向きに変え、衝突の可能性が低まっているというのです。
このまま逸れてくれることを願うばかりですが、専門家はサイズから鑑みて、あと10年間は海上に漂っているだろうと考えています。
タイタニックにぶつかった氷山
氷山にぶつかるときの衝撃はいかほどでしょう。
氷山の強度はコンクリートの10%ほどだといいます。それだけ聞くと、それほどの衝撃でもないように聞こえますが、衝突時のスピードや接触面積などを鑑みると、大事故につながることは確かです。
1912年タイタニックが沈没した一因も氷山と言われます。おそらくその氷山と見られるものが、沈没の翌日に付近を航行していた船により写真に撮られています。それが下の画像です。
高さ30メートル、幅120メートルと推定されるこの氷山には、タイタニック号が衝突した際に付いたとみられる赤い塗料が付着していました。
この写真は現在、競売にかけられており、落札予想価格は1万5千ドル(150万円程度)とのことです。