なぜバルサは強さを維持しているのか?ヤマル、ラフィーニャ、レヴァンドフスキ…躍動する新たなトリデンテ
監督交代の効果はあった。バルセロナが好調を維持している。
バルセロナは、今夏、監督の交代を行った。シャビ・エルナンデス前監督が退き、ハンジ・フリック監督が就任。リーガエスパニョーラでは首位を走り、チャンピオンズリーグでは16位につけグループ突破に前進している。
■ラフィーニャの覚醒
ハンジ・フリック監督の就任で、恩恵を受けた選手の一人はラフィーニャだろう。
ラフィーニャは2022年夏に移籍金5800万ユーロ(約92億円)でバルセロナに加入した。だが当時、シャビ前監督はウスマン・デンベレに絶大な信頼を寄せていた。また、ガビを「偽ウィング」で使う戦術を浸透させ、両翼のファーストオプションは定まっていた。
2023年夏にデンベレがパリ・サンジェルマンに移籍したが、次はラミン・ヤマルが台頭してきた。15歳でトップデビューを飾ったカンテラーノは、瞬く間にスター街道を駆け上がり、バルセロナの右ウィングのポジションを確固たるものにしてしまった。
「良いプレーをしたいというのは、ずっと思っていた。変わったところがあるとしたら、ピッチ上での自分のポジション。常に走らないといけない。結果は重要じゃない。大事なのは、チームのために全力を尽くすことだ」とはラフィーニャの弁だ。
ハンジ・フリック監督は、ラフィーニャを2列目の左あるいはトップ下に配置している。ラフィーニャに求められるのは、攻撃時にシャドーストライカー化してゴールに迫ること。そして、守備時にプレスのスイッチャーになることだ。今季開幕後、ラフィーニャはリーガで8試合5得点3アシスト(リーガ第8節終了時点)。フリック監督の期待に応えている。
■新たなトリデンテ
「ラフィーニャは素晴らしいプレーをしてくれているね。だけど、一人の選手にフォーカスしてはいけない。チームとして、どのようにプレーするかが重視されるべきだ。チームメートが良いパフォーマンスを見せるから、ラフィーニャも良いプレーができる」
これはハンジ・フリック監督の言葉だ。
前線に目を向ければ、ラフィーニャ、ヤマル、ロベルト・レヴァンドフスキが躍動している。バルセロナの「新たなトリデンテ」は、公式戦20得点18アシストをマーク(リーガ第8節/CL2試合消化終了時点)。得点数においては、チーム全体の64,5%を彼らが記録している。
バルセロナの課題を挙げるなら、それは選手層だろう。事実、8連勝が懸かったリーガのオサスナ戦では、ローテーション起用を行い、敵地エル・サダールで2−4と敗れた。
オサスナ戦のスタメンの平均年齢は23,2歳だった。レヴァンドフスキ(36歳)を除けば、21,9歳。ヤング・バルセロナの弱点が露呈した試合だった。
「ローテーションを行うのは当然だ。多くの試合が残されているからね」とはオサスナ戦後のペドリ・ゴンサレスのコメントである。
「でも、それは言い訳にならない。先発のメンバーは、メンタルの準備ができていなければいけない。ビハインドの状態でハーフタイムを迎えたので厳しかった。良い形でゲームに入れなかった。後半、少し良くなったけれど、いいプレーができていた時間帯にまたゴールを許してしまったんだ」
ロナウド・アラウホ、ガビ、フレンキー・デ・ヨング、アンドレアス・クリステンセン、フェルミン・ロペス、マルク・ベルナル、マーク・アンドレ・テア・シュテーゲン、ダニ・オルモ…。今季序盤戦、ケガで起用できなかった選手、負傷離脱を強いられた選手は少なくない。
先日、デ・ヨングが復帰を果たし、長期離脱のテア・シュテーゲンの代役に、ヴォイチェフ・シュチェスニーの獲得が決まった。10月27日には、レアル・マドリーとの直接対決(エル・クラシコ)が控えている。バルセロナの強さは本物なのか。それを証明する日は近づいてきている。