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北朝鮮の核実験阻止に向け米軍が軍事力を増強! 始まった米朝チキンレース!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
「F―35B」などを搭載した米大型強襲上陸艦(米海軍HPから)

 「北朝鮮の7回目の核実験が差し迫っている」と伝えられているが、米国は北朝鮮を牽制するため外交圧力、経済制裁に加えて軍事的プレッシャーを一段と強めている。

 先月末から世界最強のステルス機と称されている「F―22」や米国の5世代戦闘機として知られている「F―35A/B」などを韓国や日本に前進配備している。

 「F-22」は6機が4月1日にハワイのヒッカム空軍基地から沖縄の嘉手納基地に移されたことが軍用機の航跡を追跡する軍事専門ツイター「Gulf19」によって確認されていたが、沖縄タイムス(2日付)などによると、「F-22」はこの日、延べ12機が嘉手納基地に飛来していた。米軍三沢基地所属の「F―16」戦闘機10機もこの日、三沢から嘉手納基地に移動していた。また、アラスカ州のエルメンドルフ空軍基地に配置されていた「F-35A」ステルス機12機が1日午前11時半から12時にかけて岩国米軍基地に着陸していた。

「F―22」は有事時に北朝鮮の防空網を潜り、標的を正確に打撃できる戦闘機で、北朝鮮が脅威に感じている兵器の一つであると言われている。全長13メートル、全幅18.9メートル、最高速度はマッハ2.5で、嘉手納から飛び立てば、1時間で朝鮮半島に飛んでこられる。

 北朝鮮が4度目の核実験(2016年1月6日)をした直後、F―22編隊が朝鮮半島に緊急出動したことがあったが、当時、金正恩(キム・ジョンウン)総書記が恐れて、雲隠れしたと言われていた。朝鮮半島の緊張が極度に高まっていた2017年に在日米軍基地に前進配置されていた。

「F-35A/B」は北朝鮮のレーダーシステムを無力化させた後、平壌に侵入し、戦争指揮部を打撃する任務を帯びている。全長15.40メートル、全幅10.67メートル、マッハ1.6で、中距離空対空ミサイルと精密合同直撃弾(JDAM)をそれぞれ2発搭載し、25mmバルカン砲を装着している。5月29日には最新鋭ステルス戦闘機「F―35B」が10機以上搭載された米海軍の新型強襲揚陸艦「トリポリ」が横須賀基地に入港している。

 北朝鮮が5度目の核実験(2016年9月9日)を行った時は「F-35B」4機が軍事境界線(DMZ)付近まで飛行し、爆弾を投下していた。「F-35B」がDMZ近くまで飛行したのはこの時が初めてであった。

 さらに、「Gulf19」によれば、長距離戦略爆撃機「B-1B」2機が4月2日にサウスダコタ州のエルスワース空軍基地から離陸し、東京と沖縄を経由してグアム方面へ飛行したことが確認されている。

 別名「死の白鳥」と呼ばれる「B―1B」は核戦略爆撃機「B―52」やステルス戦略爆撃機「B-2」と並ぶ米国の3大戦略爆撃機の一つで、北朝鮮が最も警戒している爆撃機である。全長44.5m、全幅42mで最大速度がマッハ2と、戦略爆撃機の中では最も早い。

 核兵器は搭載されていないが、空対地巡航ミサイル24基など最大で61トンの爆弾が搭載されている。約900km離れた場所から北朝鮮の核心施設を半径2~3km内で精密打撃が可能で、「爆弾の母」と言われている最も強力な爆弾である「GBU-43」や地下60メートルまで攻撃可能な爆弾「GBU-57」を搭載している。

 爆発力が11トン規模の「GBU-43」はアフガニスタンでイスラム国の拠点を攻撃するため初めて実戦使用されている。また、「GBU-57」はGPSを装着していることから命中率が高い。これら在来式爆弾だけで平壌の指揮所や地下バンカー、核ミサイル基地を焦土化できる。「B-1B」もまた、2016年9月に「F-35B」とともにDMZ付近まで北上し、軍事示威を行っていた。

 「B―1B」がグアムに着陸したかどうかは確認されていないが、もし着陸していれば、米韓両国は北朝鮮が核実験などで挑発した場合、これら戦略資産を朝鮮半島に総動員させる計画であるとされている。ステルス戦闘機が朝鮮半島で展開されれば、2017年以来5年ぶりとなる。米ステルス機とB-1爆撃機は2018年の米朝首脳会談以来、朝鮮半島での運用が停止されていた。

 北朝鮮が米国の軍事力増強を前に委縮し、核実験を自制するかどうか、大いに注目されるところだが、過去のケースからして核実験を強行する可能性が高い。

 直近では、米海軍の原子力空母「エーブラハム・リンカーン」(全長333メートル、10万トン級)が4月12日、韓国南東部の蔚山沖の公海上に入ったが、米国の空母派遣は15日の金日成(キム・イルソン)主席生誕110周年や25日の朝鮮人民革命軍創設90周年に合わせて北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射や核実験を行う可能性があるとみて、牽制することに狙いがあった。

 米空母が朝鮮半島沖、日本海に入るのは2017年11月以来、4年5カ月ぶりであったが、北朝鮮は意に介さず、4日後の16日に新型戦術誘導兵器を2発発射し、5月も4日から25日まで計4回ミサイルを発射している。そのうち4日の弾道ミサイルと25日に発射された3発のうち1発は米国をターゲットにした大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」であった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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