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【来日直前インタビュー】フィリップ・セルウェイ、Hostess Club Weekender参戦

山崎智之音楽ライター
Philip Selway

近年、日本でも音楽フェスティバル・カルチャーがすっかり根付き、フジ・ロック・フェスティバルやサマーソニックなどの夏フェスには毎年、数万人規模の大観衆が集まって盛り上がるようになった。

一方、それよりは規模こそ小さいが、東京都内のクラブ〜ホールで現代ポップ/ロック・シーン最前線のアーティスト達を厳選、2日間に凝縮したイベントがHostess Club Weekenderだ。2012年にスタートと、まだ開始して日が浅いものの、これまでスピリチュアライズドやブロック・パーティ、ダイナソーJr、ヴァンパイア・ウィークエンド、ニュートラル・ミルク・ホテル、モグワイなど魅力的なラインアップが出演、人気イベントとなってきた。

2014年11月に開催予定だったイベントは諸事情により中止となってしまったが、2月21日(土)・22日(日)、新木場スタジオコーストで行われるHostess Club Weekenderには、それを補って余りある強力なアーティスト達の参加が決定した。

結成20周年を控えながら現役アーティストとして圧倒的な人気を誇るベル・アンド・セバスチャンを初日、そして英NME紙を筆頭に各雑誌・ウェブサイトの2014年のベスト・アルバム選を総ナメにしたセイント・ヴィンセントを2日目のヘッドライナーに迎えたこのイベント。さらに元ソニック・ユースのサーストン・ムーア・バンド、カリブー、テンプルズ、チューン・ヤーズ、ハウ・トゥ・ドレス・ウェル、リアル・エステイト、イースト・インディア・ユース、フィリップ・セルウェイという、若手からベテラン、メジャー級からマニア向けまで多彩なアーティストが勢揃いする。

その中で2日目のトップバッターとして出演するのが、フィリップ・セルウェイだ。レディオヘッドのドラマーとして知られる彼だが、ソロ・アーティストとしても『ファミリアル』(2010)と『ウェザーハウス』(2014)という2枚のアルバムを発表。2010年8月にはソロとしての来日公演も行っている。

Hostess Club Weekenderへの参戦を前にして、フィリップにその意気込み、そしてレディオヘッドの今後についても訊いてみた。

●Hostess Club Weekenderでのライヴは、どのような編成で行われるのですか?

私がヴォーカルを取って、数曲ではギターも弾く。歌うのとドラムスを同時にやるのは難しいから、今回はヴォーカルに専念したんだ。よりシンプルなショーにしようと考えている。

●楽器のプレイヤーとしてでなく、手ぶらでステージに上がるのはどんな経験ですか?

ヴォーカルに専念できることはとてもエキサイティングだし、楽しんでいるよ。ドラム・キットに守られていなくても、無防備に感じることはないな。

●ステージではどんな曲を演奏する予定ですか?

これまで出した2枚のアルバム、それからEP『ランニング・ブラインド』からの曲をプレイする。ただ、アルバムと同じように演奏するのではなく、初期の曲は『ウェザーハウス』の世界観でプレイすることになる。『ファミリアル』を出したときにやったライヴではセンチメンタルなスタイルだったけど、より厚みと拡がりのあるアレンジになるよ。

●「マイルズ・アウェイ」のようなエレクトロニックな、クラウトロックにも近いアレンジになる過去曲もあるでしょうか?

うーん、私自身はあの曲がクラウトロックっぽいとは思わないけどね。どちらかといえばヒップホップのトラックに近いんじゃないかな。曲によっては、そういうアレンジをしても面白いかも知れない。クラウトロックは昔ノイ!やカンをよく聴いていたけど、最近はちょっどご無沙汰だね。

●今回、Hostess Club Weekenderの2日目に出演しますが、注目している出演アーティストはいますか?

St. Vincent
St. Vincent

特定のアーティストよりも、イベント全体が素晴らしいラインアップだし、その一部になれることにスリルを感じているよ。カリブーはレディオヘッドと一緒にツアーしたことがあるし、ユニークでオリジナルな音楽をやっている。セイント・ヴィンセントのライヴはまだ見たことがないから、この機会にぜひ見てみたい。彼女の最新アルバム(『セイント・ヴィンセント』)、それからデヴィッド・バーンとのコラボレーション作は素晴らしかったよ。彼女独自の表現スタイルを持っていて、確信を持った表現をしている。現代のシーンにおいて、興味深い音楽をやっていて、ダイナミックなライヴ・パフォーマンスを行うアーティスト達が集まったイベントだと思う。

●4月のコーチェラ・フェスティバルまでソロ・ツアーが続きますが、レディオヘッドとしての活動について教えて下さい。

みんな、それぞれの活動をしているけど、今年の3月にミーティングを持って、夏にレコーディングをする予定だ。レディオヘッドとしてのライヴはまだ決まっていない。まずはアルバムを作らなくてはね。

●とすると、レディオヘッドの新作は2016年初めには聴けそうでしょうか?

そう願うよ(笑)。私自身、すごく楽しみにしているんだ。

●Hostess Club Weekender

東京・新木場スタジオコースト

-2015年2月21日(土)

Belle and Sebastian / CARIBOU / TUNE-YARDS / HOW TO DRESS WELL / EAST INDIA YOUTH

2015年2月22日(日)

ST. VINCENT / The Thurston Moore Band / TEMPLES / Real Estate / Philip Selway

公式ウェブサイト:Hostess Club Weekender 2015.FEB

音楽ライター

1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,300以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検1級、TOEIC945点取得。

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