サムスンの独走、もはやここまでか、「iPhone」世界スマホ市場で3年ぶりに首位奪還
米国の市場調査会社ガートナーがまとめた最新のスマートフォン販売統計によると、米アップルの昨年10〜12月期におけるスマートフォン販売台数は7483万台で、韓国サムスン電子を上回って、首位に浮上した。
3年続いたサムスンの独走
アップルの1年前に比べた販売台数伸び率は49%。販売台数シェアは20.4%で、1年前から2.6ポイント上昇した。
これに対し、サムスンは7303万台で、1年前から12.3%減少。サムスンの販売台数シェアは19.9%で同9.6ポイント低下し、順位は2位に後退した。
これによりアップルは3年ぶりに首位を奪還した。思えばサムスンの独走態勢はちょうど3年前から始まった。当時の市場構図をざっと振り返ってみる。
世界のスマートフォン市場は、iPhoneのモデルが「4」だった頃の2011年1〜3月期まではフィンランド・ノキア(現:米マイクロソフトの携帯電話事業)が支配していた。しかし同年4〜6月期にアップルとサムスンがノキアを抜き、それぞれ1位と2位に浮上。
その翌四半期にはサムスンがアップルを抜いて初めて首位に立つ。
アップルは2011年10〜12月期に「iPhone 4S」を発売していったん首位に返り咲くものの、その翌四半期にサムスンが再び首位を奪取。その後はサムスンが次々記録を更新し、アップルを引き離していった。
「iPhone 6」が需要喚起、米・中などで好調
ガートナーよると、サムスンのシェアは2013年7〜9月期に過去最高を記録するなど、それまで好調に推移していたが、2014年に入って成長が鈍化。昨年10〜12月期はさらに減速した。同社は利益率の高い高価格端末の分野で厳しい競争に直面しているという。
一方、アップルは9月に発売した同社初の大画面スマートフォン「iPhone 6」「同6 Plus」が好調だった。これらに対する消費者の需要が旺盛で、10〜12月期は中国と米国市場の販売台数がそれぞれ56%、88%伸びた。
アップルはiPhoneの顧客に対し、新モデルへの買い替えを促しただけでなく、大画面を求める新規顧客に対し「Android」端末に代わる選択肢を用意したと、ガートナーは分析している。
中国メーカー、低・中価格端末市場で台頭
10〜12月期の販売台数がアップル、サムスンに次いで多かったのは、中国レノボ・グループ(聯想集団)で、その台数は2430万台、シェアは6.6%。この数値には、同社が昨年10月末に買収を完了した米モトローラ・モビリティの販売実績が含まれている。
同社はこの買収で、携帯電話事業の規模を拡大させている。スマートフォンを含む同社の携帯電話販売は、中国をはじめ、 ロシア、インド、インドネシア、ブラジルで好調だった。
このほか、レノボに次いだのは、中国ファーウェイ(華為技術)で販売台数は2104万台、シェアは5.7%。第5位となったのは、中国シャオミ(小米科技)で、同1858万台、同5.1%だった。
ファーウェイとシャオミの1年前に比べた販売台数伸び率は、それぞれ31.0%と231.9%。これら中国メーカーは低・中価格帯の端末でシェアを伸ばしている。
なお昨年10〜12月における業界全体のスマートフォン世界販売台数は3億6748万台で、1年前から29.9%増加。また昨年の年間販売台数は、前年から28.4%増の12億4489万台。世界の携帯電話販売台数の3分の2をスマートフォンが占めたという。
(JBpress:2015年3月5日号に掲載)