「カンパより野菜を」8月31日は野菜の日 3000億円農林水産被害の西日本豪雨 真の災害支援とは
8月31日は野菜の日。2018年8月30日14時、農林水産省は、西日本豪雨に関する最新の被害状況を発表した。農林水産関連の被害総額は、2,856億4,000万円に及ぶ。
2018年8月31日付の日経MJ(日経流通新聞)は、西日本豪雨被害の影響が食卓に影響すると報じている。
全国的には、葉物を中心とした野菜の販売価格の上昇が予想されている。そのほか、愛媛県のミカン、広島県のカキ、北海道の小豆や大根などが、生産量の減少に伴い、販売価格が上がるとしている(2018年8月31日付日経MJ1面)。
豪雨による葉物野菜の高騰は消費者心理に影響
西日本豪雨による葉物野菜の価格高騰は、消費者心理にも影響している。
2018年8月30日付の北海道新聞は、豪雨による葉物野菜の値上がりが影響し、消費者心理の明るさを示す指数が悪化したと報じている。
被災地のコンビニでは販売期限の存在により大量の食品が廃棄された
豪雨による買い控えが起こる一方、西日本豪雨で交通網が遮断された地域のコンビニエンスストアでは、消費期限の2時間手前に設定された販売期限ギリギリに商品が届いたため、大量に廃棄された。
大手スーパーは高価格の野菜を使わないメニュー提案を
2018年8月31日付の日経MJは、大手スーパーが、この秋、ステーキを重視すると語ったと報じた。他のメニューだと野菜を使うためだ。
「日本はそもそも野菜の値段が安すぎる」
豪雨や災害などで野菜の生産量が下がり、価格が高騰すると、必ず出てくるのが「高い野菜を上手に使うコツ」みたいな記事だ。前述の大手スーパーのバイヤーも、野菜を使わないメニュー提案をすると語っている。
ただ、そもそも日本では野菜の値段が安すぎる、と主張する人もいる。第二回食生活ジャーナリスト大賞で筆者とともに受賞した、「東北食べる通信」編集長の高橋博之さん。2018年3月に開催された授賞式で、野菜の価格が(生産者の努力に比して)安すぎる、と語った。
農産物流通コンサルタントの山本謙治氏は、著書『日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない』(講談社)で、大量に余り、産地で廃棄される野菜を巡る消費者の声について、こう嘆いている。
米国には国が余剰農産物を買い取り活用する「余剰農産物処理法」がある
米国には、国が余剰農産物を買い取り、困窮者のために活用できる法律がある。それが、1954年に成立した「余剰農産物処理法」である。
日本では、農産物が過剰生産となった場合、廃棄すると農業補償金が出る仕組みはあるが、米国のような法律はない。過剰になれば廃棄し、品薄になれば価格が高騰し、われわれ消費者が買い控えをするのが現実だ。
フィリピン・レイテ島台風支援では全滅した農産物のタネの支援も
2013年11月に発生したフィリピン・レイテ島での台風の支援では、現地の主力農産物であるヤシの多くが壊滅した。農産物も、その多くが被害を受けた。筆者はその食糧支援に行ったが、その時見た支援物資の中に、タネの会社から、農産物のタネの支援があった。
物だと、それを消費してしまうと無くなってしまうが、その根幹であるタネを支援するという視点に目を開かされた。
いっときの寄付より毎日の野菜購入を
これだけ頻繁に全国で自然災害が起こる昨今。支援してあげたい、という気持ちで募金をすることも多い。だが、筆者の場合、一旦募金したから「支援した」気になっているのも事実だった。
本当の災害支援とは、一回、募金しただけであとは知らないよ、という態度ではなく、災害が起こった後こそ勝負で、その地域の農産物を積極的に、日常的に買うことなのだろう。「高いから」と言って買い控えをするのではなく。
野菜や果物、鮮魚など、その土地で、天候や気象の変化と闘って生産している方への、それが何よりの支援なのかもしれない。
参考資料